功績が顕著な芸術家を優遇する日本芸術院は22日、新しい会員の候補に作家の五木寛之さん(89)や指揮者の小澤征爾さん(86)ら9人を決めたと発表した。候補の推薦や絞り込みに外部の有識者を交えるなど選考の方法を見直してから初めての選考で、新設分野の「マンガ」では、ちばてつやさん(83)とつげ義春さん(84)が選ばれた。
新会員候補に決まったのはほかに、日本画家の千住博さん(64)▽彫刻家の宮瀬富之さん(80)▽書家の星弘道さん(77)▽建築家の伊東豊雄さん(80)▽狂言師の野村万作さん(90)。
3月1日付で文部科学相が発令する。会員は非常勤の国家公務員で年250万円の年金が支給される。今回の候補者を含めると103人になる。任期は終身。
芸術院は「美術」「文芸」「音楽・演劇・舞踊」の三つの部があり、新分野の拡充に伴い計18の分科になった。従来は会員のみで候補を推薦していたが、「選考が閉鎖的」などと批判され、文化庁の有識者会議が改革案をまとめた。今回からは文化庁が選んだ有識者が候補の推薦と絞り込みに加わり、投票は従来通り会員のみが行った。その結果、18分科のうち、新設のマンガを含む8分科で計9人が決まった。
マンガと同様に今回新たに対象分野になった「写真・映像」「デザイン」や、アニメや放送も加えて独立分科となった「映画」では、新会員候補が決まらなかった。現会員である映画監督の山田洋次さんは、「演劇」から「映画」の会員となった。芸術院は「投票で規定の過半数を得る候補がいなかったか、得票したが辞退した可能性がある」としている。今回の選考では2人が辞退したが、芸術院は辞退者が特定される可能性があるとして分野は公表していない。
芸術院の高階秀爾院長は「新分野にも開かれた点は非常に良かったが、十分に新会員を選べなかったという意味では道半ばという感じがある」と話した。(神宮桃子、編集委員・大西若人)
変化は限定的、識者「まだ霧の中」
新分野の「マンガ」に実績豊かな2人が選ばれるなど、芸術院会員の選考法改革は一定の成果を上げたように映る。しかし第1部(美術)については、特定の公募美術団体にメンバーが偏り(第1部の現会員のうち約6割が日展所属)、閉鎖性が指摘されてきたことを考えると、変化は限定的と言わざるを得ない。
第1部では、外部有識者が推…
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