春告げる鶴岡のお雛菓子、これからピーク
鵜沼照都
【動画】鶴岡の「お雛菓子」作り、間もなくピーク=鵜沼照都撮影
山形県鶴岡市のひな祭りに華を添える「お雛(ひな)菓子」の販売が始まっている。一般的に添えられるひし餅やひなあられとは違い、縁起物や地元産品をかたどった和菓子で、江戸時代に北前船が城下町・鶴岡に運んで来た京文化の流れをくむ品とされている。
菓子製造販売「木村屋」(同市山王町)では今春も大中小の計5千箱を超える出荷を予定しており、間もなく製造のピークを迎える。
もっちりとした求肥(ぎゅうひ、もち米粉や白玉粉に水あめや砂糖を入れ練り上げたもの)と白あんを混ぜて作った「練りきり」で、タイやモモ、温海カブ、タケノコ(孟宗〈もうそう〉竹)、だだちゃ豆などと縁起物や地元産品をかたどる。
その細やかさが特徴だ。サクランボやイチゴの仕上げに寒天をかけて光沢を出し、ヘタの部分には薄く切ったヨウカンを貼り付け、モモの表面の産毛感を演出するためにでんぷんをはたく。タケノコの土っぽい感じはシナモンパウダーだ。
同社の吉野真・商品開発商品管理係長は「鶴岡の菓子職人たちがアイデアと技を長年切磋琢磨(せっさたくま)してきた」と話す。
鶴岡の「お雛菓子」は旧暦の3月3日となる4月上旬ぐらいまでは店頭に並んでいるという。(鵜沼照都)