ロシアのプーチン大統領が2月21日、ウクライナ東部で親ロシア派勢力が自ら名乗る「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」の独立を承認し、国防省に「平和維持部隊」の派遣を命じました。ロシアがウクライナに履行を求めてきた、東部での紛争停止を定めた2015年の「ミンスク合意」を自ら崩壊させる動きです。ロシアにはどんな狙いがあるのか、有力シンクタンク「ロシア国際問題評議会」のイワン・ティモフェエフ研究員に聞きました。
――ミンスク合意の履行を巡る議論は今後、どうなるでしょうか。
ロシアは公式には、「ロシアは合意の当事者ではなく、独立承認は合意の終わりを意味しない」としています。ですが、ミンスク合意は、親ロシア派武装勢力が支配する地域はウクライナに帰属すると認めています。そこが独立したとなれば、(同地域に「特別な地位」を与えることなどを定めた)合意をウクライナが履行する意味はありません。合意は死にました。
履行を拒んできたウクライナにとっては、合意を完全に拒否する口実ともなります。ある意味、ウクライナにとって状況が軽くなったとも言えますが、ウクライナは事実上、領土を取り戻すチャンスも失いました。
――プーチン大統領とバイデン米大統領は20日、近く首脳協議を開くことで大筋合意していました。
全てはウクライナ東部の状況次第です。ロシアとウクライナの戦闘が始まれば、会談するという合意は決裂する可能性が高いでしょう。戦争にならなくても、バイデン氏が協議を承諾するかは見通せません。欧米側が一時的な交渉の停止を選ぶかもしれません。いずれにせよ、見通すのは困難です。
――プーチン氏はなぜ今、このような決定をしたのでしょうか。
ロシアは以前から、ミンスク…
- 【視点】
ティモフィエフ氏の<ロシアは以前から、ミンスク合意が履行されないことに不満を示してきました。事実、ウクライナは合意の履行を拒み続け、(合意を仲介した)フランスやドイツもそれを黙認してきました。ロシアは、このまま永遠に合意が履行されないこと

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