第2回ヘイトクライムに狙われた故郷 立ち向かう弁護士の心揺さぶった一節
「デモを起こしたところで聞く耳は持たれないだろうし、(住民の)命に及ぶリスクはあっても、それくらい(放火)しないと伝わらない。後悔はない」
2月21日、京都府内の勾留施設で朝日新聞記者と面会に応じた男(22)は、小声でゆっくりとした口調ながらも冗舌だった。
奈良県出身で福祉関係の仕事をしていたという男は、昨年8月30日に京都府宇治市伊勢田町ウトロで空き家や近くの家屋など計7棟を全焼させたなどの容疑で逮捕され、起訴された。
ウトロは、戦時中に飛行場建設に動員された朝鮮人労働者の子孫らが暮らす国内有数の在日コリアンのコミュニティーだ。
「人の世に熱あれ、人間に光あれ」と結ばれる水平社宣言から100年。日本初の人権宣言と言われ、社会のあらゆる人権問題の克服に向けた原点となってきました。誰にも潜みうる差別の心を溶かす「熱」と、すべての人を等しく照らす「光」を手にできるのか。人間の尊厳を重んじる宣言の精神を改めて見つめます。
男は記者の質問に対して放火を認めた上で、国と京都府、宇治市が地区の住環境改善のために公営住宅を建設したことや、4月にウトロに開館する歴史交流施設「ウトロ平和祈念館」への不満が動機だと語った。
公営住宅については「コロナ禍で困っている人がいるのに、なぜ支援が必要なのか」。ウトロ平和祈念館に対しては「議論がないまま、国の金が使われている」と批判した。しかし、祈念館は実際には地元の財団が寄付金などを基に建設し、公費の支出はない。
男は昨年7月に名古屋市の韓国民団愛知県本部敷地内の建物が焼損した事件でも逮捕・起訴されている。在日コリアンと会った経験はなく、情報源はネットだった、とも明かした。
「まるで自分の存在が消されるかのようだった」
「お菓子やろうか」やさしかった大人たち
13歳までウトロで両親と兄…