第4回「あいつゲイやねん」 22年前の懇親会、彼の苦しみが見えなかった

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宮崎亮
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 札幌市に住むレナ(42)は2016年8月のある朝、1歳の長男を着替えさせ、食事を口に運んでいた。

 彼女がふとテレビに目を向けると、テロップが流れた。

 「同性愛の男性自殺で提訴」

 東京都一橋大学法科大学院に通う男性から恋愛感情を明かされた同級生の男子学生は、男性がゲイだと友人らに漏らした。その後、男性は建物から転落死した――。

 「私もあの時……」

 アナウンサーの声を耳にしながら、レナは学生時代のあの夜を思い出した。

 同じ頃、ケンイチ(40)は北日本にある職場にいた。パソコンの画面を眺めていると、同じニュースが目に入った。

「人の世に熱あれ、人間に光あれ」と結ばれる水平社宣言から100年。日本初の人権宣言と言われ、社会のあらゆる人権問題の克服に向けた原点となってきました。誰にも潜みうる差別の心を溶かす「熱」と、すべての人を等しく照らす「光」を手にできるのか。人間の尊厳を重んじる宣言の精神を改めて見つめます。

 胸の奥がチクリと痛んだ。すぐにある男性の名前をネット検索した。

 白川大介さん(40)。テレビ番組の紹介サイトが表示され、テレビ局で働いていることがわかった。

 「活躍してるんや」

 懐かしさと、胸が少しうずくような気持ちを感じながら、18歳の春の記憶をたどった。

「白川君ってゲイなの?」 一斉に振り向いた

 00年4月。3人は同じ東京…

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