ロシアのプーチン大統領がウクライナ東部の親ロシア派支配地域への軍の派遣を指示したことを受け、バイデン米大統領は22日、「ウクライナ侵攻の始まりだ」としてロシアへの新たな制裁を表明しました。このタイミングでの制裁にはどんな狙いがあるのか。米シンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)の上級アソシエートで、米シンクタンク「IST」の上級技術政策アドバイザーも務めるベラ・ザッカム氏に聞きました。
――米政権の制裁にはどんな目的がありますか?
三つの意味があると思います。一つは、バイデン政権やそのパートナー、同盟国は、ロシアがウクライナに侵攻すれば制裁を科すと警告してきました。ロシアがしたことはウクライナ東部の親ロシア派支配地域への侵攻であり、これは平和維持活動ではありません。
もう一つは、今回の制裁は、ロシアが(同支配地域を越える)ドンバス地方(の全域)などに侵攻した場合に備えてのものです。このことは、バイデン氏の演説でもほのめかしていますが、(ウクライナ東部への)侵攻への対応というだけでなく、ロシアのさらなる軍事的な行動を抑止するためのものです。
三つ目は、米国はすでに準備ができていて、国際社会において同盟国やパートナーとしっかりと連携しているというシグナルをロシアに送っているのです。ロシアの責任を追及することを約束し、団結し、決意しているのです。今回の制裁によって、プーチン大統領に対し、国際社会は真剣であるということを示し、これ以上、エスカレートさせればさらに大きな影響が出るということを伝えています。
――バイデン氏はこれまで「侵攻すれば首脳会談はしない」としてきましたが、今回は制裁を科す一方で、「外交に応じる用意はある」とも述べています。このメッセージの狙いはどこにありますか?
米国のブリンケン国務長官は…
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- 【視点】
ベラ・ザッカム氏の視界に入っていないのは「ルガンスク人民共和国」と「ドネツク人民共和国」に住む人々の意思です。これらの人々はロシア人というアイデンティティーを強く持っていて、ウクライナの統治下に入ることを望んでいません。ウクライナで少数派