「我が子がいじめられた」 解決に取り組む母が学校と親にアドバイス

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聞き手・東谷晃平
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 自らの息子がいじめられた体験をきっかけに、NPO法人として第三者の立場からいじめ問題の解決に取り組む女性がいます。埼玉県川口市に住む森田志歩さん。全国から寄せられる相談は、学校や教育委員会と保護者の関係がこじれたものがほとんどだといいます。なぜ、学校と保護者はすれ違うのでしょうか。「それでは、子どもが置き去りになってしまう」と森田さん。保護者が心がけるべきこととは。

全国から月200件の相談

 ――2020年に市民団体「Protect Children~えいえん乃えがお~」を立ち上げ、その後NPO法人化されました。どんな活動をしているのですか。

 第三者として、中立の立場で、子どもや保護者、学校・教育委員会からの相談を受けています。子どもからはいじめを受けているという相談、保護者からは「学校がいじめがあったことを認めない」、学校からは「長期間説明を繰り返しても保護者の理解が得られず、生徒の支援もできない」などです。保護者、学校・教育委員会、子ども合わせて月200件ほどの相談を受けています。

 注意しているのは、必ず双方から話を聞くことです。親から相談がくれば、学校へも聞きますし、学校から来れば親の話も聞きます。教育委員会が設置する第三者委員会が報告書をまとめれば、事前に目を通して足りないところを指摘することもあります。どうしたら子どもが安心して学校に通えるようになるかということも重視しています。

 私が介入する時点で保護者と、学校や教育委員会の関係がこじれていることが多いため、こじれた状態で調査委員会を設置して調査することになり、さらに問題が発生しないように依頼を受けて、子どもへの聞き取りや経過報告のときなどさまざまな場面で立ち会うことも多くあります。

保護者と子どもの正義は違う

 ――いじめ問題では、保護者側と学校側が対立することが多いようです。

 保護者は学校への不信感を募らせ、学校側もどう保護者に対応していいかわからない。しかし、そこに本来守るべき子どもはいないのです。

 ――どういうことでしょうか。

 保護者側は「行為」があったことを認めてほしい。一方、先生は行為を目撃してはいないため、双方に聞き取りをしても、お互いに異なることを言った場合は当然判断できません。このような状況になると膠着(こうちゃく)して、学校に通えない期間が長く続きます。本来の「子どもを守る」ということからは遠くかけ離れた状態が続いてしまうことになります。そして、保護者の正義と子どもの正義も異なります。保護者が自分の正義を貫こうとすると、子どもが置き去りになってしまうのです。

 ――子どもの正義とは何でしょうか。

 まず、私が受けた相談や実施…

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    氏岡真弓
    (朝日新聞編集委員=教育、子ども)
    2022年2月28日11時14分 投稿

    【解説】保護者対学校、教委の関係を「ベルリンの壁」にたとえた研究者がいました。この壁をいかにくずすかが、いじめを解きほぐすポイントだと思いますが、当事者には難しいことが多いようです。そこで各地で解きほぐす役目を果たしてきたのが、子どもオンブズパーソ

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    内田良
    (名古屋大学准教授・教育社会学)
    2022年2月27日18時6分 投稿

    【視点】保護者vs学校・教育委員会といった構図ではなく、その「こじれ」を解くことは、個別ケースの対応において必須だと感じます。 「こじれ」が生じるプロセスの一つに、「場合によっては、加害者側の子どもだけが一方的に悪いわけではなかったということもあ