東京外環道の地下トンネル工事 一部差し止めを決定 東京地裁

村上友里
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 東京外郭環状道路(外環道)の地下トンネル工事の影響で陥没した地区の住民らが工事中止を申し立てた仮処分について、東京地裁は28日、「具体的な再発防止策が示されていない。工事は違法だ」とし、一部工事の差し止めを事業者の国土交通省東日本高速道路(NEXCO東日本)などに命じる決定をした。

 工事は、関越自動車道大泉ジャンクション(JCT)から東名高速道路までの約16キロメートルを地下トンネルでつなぐ計画。「シールドマシン」という大型掘削機を使う工法で行われるが、工事区間の周辺住民13人が2020年5月、掘削により地盤沈下が起こるとして中止を地裁に求めていた。同年10月には実際、工事ルート上の調布市内で縦約3メートル、横約5メートルにわたる陥没が発生し、掘削工事が中断されていた。

 目代真理裁判長は決定で、原告の1人の居住地が陥没地点と同様の地盤状況にあるため、工事が再開されれば陥没が生じる恐れがあると判断。「陥没が起きれば家屋の倒壊を招き、生命・身体に危険が生じて原告の日常生活を根底から覆す」と指摘した。

 事業者側は「地盤補修などを講じるため陥没は発生しない」と訴えたが、地裁は決定で「具体的な再発防止策が示されていない」と退けた。そのうえで「交通混雑の緩和など工事の公共性を考えても、中止を認めるほどの違法性がある」とし、東京都世田谷区の東名JCTから武蔵野市付近まで、陥没事故が起きた区域を含む約9キロの区間を掘り進める工事を禁じた。

 事業者側は、決定が中止を命じた区間とは別の地域で2月25日から工事の一部を再開している。原告の丸山重威さん(80)は決定後の会見で「全部の工事をとめ、危険性を再検討してほしい」と訴えた。代理人弁護士は、決定は画期的としたうえで「全区間で中止を認めないのは不十分」と述べた。

 国交省とNEXCO東日本は「適切に対応する」とコメントした。(村上友里)