「虹の松原」倒木事故、国・県など提訴 死亡男児の遺族 佐賀・唐津
佐賀県唐津市の国の特別名勝「虹の松原」を通る県道で2019年7月、倒木の松が原因で起きた交通死亡事故をめぐり、遺族3人が28日、虹の松原の所有者の国と県、市を相手取り、3159万円の国家賠償を求める訴訟を佐賀地裁に起こした。事故原因で遺族と行政側が対立しており、主な争点になる。
事故は19年7月20日深夜に発生。軽乗用車の助手席に乗っていた小学5年の川崎辿皇(てんこう)君(当時11)が死亡した。運転していた母親の内山明日香さん(39)と辿皇君の祖母、姉が原告になった。
問題の松については、県道を管理する県唐津土木事務所が事故の6年半前の12年12月、「道路上空を横断するような形状で、自重による倒木の恐れがある」と市教委に伐採を申請していたが不許可となっていた。
事故原因について、県警は「倒木は最初からあり、そこへ車が衝突した」とした。内山さんは自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死)容疑で書類送検され、起訴猶予になった。
これに対して内山さんは「折れた枝が突然、上から落ちてきてフロントガラスや天井を突き破った」と主張。車体前部がほとんど破損していないことや、エアバッグが作動していないことを理由に挙げている。(渡辺松雄)
提訴した母親の内山明日香さん(39)は記者会見で「二度と同じことを繰り返さないように」と訴えた。
28日の会見には、祖母の京子さん(67)も同席し、辿皇君の遺影が飾られた。
明日香さんは事故の原因になった1本を含む26本の松について県が12年、「自重による倒木の恐れがある」して伐採を申請したが市教委が許可しなかったことに触れ、「この時に伐採していたら、事故は起きなかった」と強調した。
また「事故後も、被害者が出…
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