東海第二原発の工事、2年弱延長 再稼働想定に影響

佐々木凌
[PR]

 日本原子力発電(原電)は28日、今年12月に完了予定としていた東海第二原発茨城県東海村)の安全対策工事について、2024年9月に延期すると発表した。原電が目指す再稼働の日程も遅れることになる。

 同日、国の原子力規制委員会に計画変更を届け出て、県や東海村を含む周辺自治体に報告した。昨年12月に規制委から設置計画の認可を受けたテロ対策施設の設置完了時期も、23年10月から24年9月に延期する。テロ対策設備も含めた工事費は2350億円で、変わらないとしている。

 原電は原子炉建屋などの本体とテロ対策施設の工事を並行して進めている。原電は工期の遅れの原因として、事故時に放射性物質を除去して排気する装置の設計の変更をあげる。本体とテロ対策施設のそれぞれに設置する予定だったが、規制委の提言を受け、一つの装置で両施設を兼用できるように変える。津波に備える高さ18~20メートルの防潮堤の建設や、電源装置の高台への設置にも、想定より時間がかかっているという。

 東海第二は、東日本大震災による津波被害を受け、停止している。安全対策工事は震災後にできた新規制基準に基づくもので、再稼働の条件となっている。

 原電は20年1月にも完了時期を21年3月から22年12月に延期しており、工期の延長は今回で2回目。規制委は18年に20年間の運転延長を認めているが、再稼働が遅れても運転できるのは38年までで変わらない。

 再稼働には、施設の工事以外の課題も残っている。一つは、周辺自治体の広域避難計画の整備だ。21年3月には、水戸地裁が避難計画の不備を理由に再稼働を認めない判決を出した。計画策定が求められる14市町村のうち、策定済みなのは現在も5市町だけだ。東海村を含む立地・周辺の6市村から同意が得られる見通しも立っていない。

 工事の遅れについて県原子力安全課は、「事業者のスケジュールありきではなく、安全性の検証や避難計画の策定などに取り組む」とコメント。東海村防災原子力安全課も「訓練の実施などで避難計画の実効性を高め、住民の意向をどう把握するか検討していく。原電には安全最優先で工事に取り組んでもらいたい」と話した。

 村商工会の佐藤映史会長は「村の経済には負の影響があるが、安全のために慎重を期すということだと思う」と理解を示した。一方、再稼働に反対の立場の阿部功志村議は「本当に24年9月で終わるのか。多額をかけて工事しても、運転できるのは十数年。避難計画策定の見通しもたたない。原電は再稼働を『ギブアップ』したらいい」と疑問を呈した。

 運転差し止め訴訟原告団の大石光伸共同代表(64)は「早期の再稼働を強行をしなかった意味ではまっとうな判断。住民にとっては再稼働の是非を考える時間が与えられたことになる。きちんと考えてほしいし、行政は耳を傾けてほしい」と話した。(佐々木凌)