「全員出場」新リーグ戦はじめた監督が考える 小学校の全国大会廃止

有料記事

木村健一
[PR]

勝利至上主義を考える

 全部員が試合に出場し、指導者は指示禁止。順位はつけない――。

 こんなルールを設けた高校ラグビーのリーグ戦がある。立ち上げたのは、早稲田大学ラグビー部出身で、神奈川・平塚工科高で監督を務めた松山吾朗さん(45)。「行き過ぎた勝利至上主義の散見」を理由に廃止が決まった小学生の柔道の全国大会について、どう考えるのか。

 「自然で、いいことだと思う。ラグビーの小学生の全国大会でも、指導者の中には過熱して、こうすれば勝てるということを教え込み、それをできないと罵倒する人がいる。勝つ確率を上げるためだとして、部員が1学年30人いても、そのうちの半数以上は試合に出られない」

 剣道とラグビーに励んだ小学生時代。5年生の時にラグビーチームの指導者が代わり、楽しむラグビーから厳しいラグビーになった。

 「こんな雰囲気なら……」とラグビーをやめ、おおらかな雰囲気の道場で剣道に専念した。

 高校でラグビー部に入り直し、早大へ。「常に日本一を目指さないといけないチーム」だった。

 ただ、ともすれば体罰や言葉の暴力に走りがちな「勝利至上主義」とは、違った指導風景がそこにはあったという。

 「部のほとんどのことを決め…

この記事は有料記事です。残り1193文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【10/25まで】すべての有料記事が読み放題!秋トクキャンペーン実施中!詳しくはこちら

  • commentatorHeader
    平尾剛
    (スポーツ教育学者・元ラグビー日本代表)
    2022年4月4日11時45分 投稿
    【視点】

    松山吾朗氏の取り組みを伝えるこの記事は広く読まれてほしいと思います。 日本における部活動の現場では、まだまだ勝利至上主義が蔓延し、指導者の怒号が飛び交っています。理不尽な厳しさを乗り越えることがよしとされ、全国大会への出場などの結果を

    …続きを読む
  • commentatorHeader
    中小路徹
    (朝日新聞編集委員=スポーツと社会)
    2022年4月1日8時13分 投稿
    【視点】

    子どものスポーツにおける〝トーナメント否定論〟がありますが、私は必ずしもそうではありません。  負けたら終わりのトーナメントは、より緊張感がある中で、相手と渡り合うおもしろさが引き立つ点で、スポーツをする側にも見る側にも、競技の魅力の一つ

    …続きを読む