ひとに善し、生き物に善し 淀川の「ヨシ」が経済循環を紡ぐまで

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編集委員・中島隆
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 むか~しむかし、奈良に都があったころ、「日本書紀」は日本という国をこう表現しました。

 「豊葦原水穂国」

 とよあしはらの みずほのくに

 豊かにアシが一面に茂り、稲が穂を実らせる国、という意味です。

 アシは「悪(あ)し」につながって縁起が悪いから「善(よ)し」とも呼ぶように。つまり、アシとヨシは同じもの。河川敷などに生えているヨシはイネ科の植物、冬には高さ5メートルを超えることもあります。

 大阪府高槻市、その淀川の河川敷に「鵜殿(うどの)のヨシ原」というところがあります。広さは甲子園球場のおよそ18倍。かつては毎冬、伸びたヨシを業者が刈り取り、家屋の建材や日よけなどに使ってきました。刈ったあとは野焼き。春、ヨシの芽が出てきて……。この「経済的循環」が原っぱを持続させてきました。

 けれど、アパートやマンションが林立します。日よけは日本製から安い中国製へと切り替わり、やがて日よけを使わなくなります。カネにならなくなったヨシ刈りはボランティアでするしかなくなりました。1975年からヨシ原を調査、守りつづける「鵜殿ヨシ原研究所」の小山弘道所長(84)の心は、危機感でいっぱいでした。経済的循環を取り戻さないと、と。

 産業だ、あたらしい産業をつくらねば――。

 小山さんの思いに、ヨシ原近…

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