大振りしなかった大阪桐蔭、監督のしたたかさを垣間見た 高嶋仁の目

前・智弁和歌山監督
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(31日、第94回選抜高等学校野球大会 決勝、近江1-18大阪桐蔭)

 大阪桐蔭の強さが際立った大会になりました。

 決勝も4本塁打を打ちましたが、決して大振りはしてません。みんなシャープにバットを振っています。

 2018年に春夏連覇を果たした後、甲子園に出ても勝ち切れませんでした。昨年は選抜が1回戦、夏の全国選手権も2回戦で敗れています。

 ぼくは、その反省が生きているように思いました。

 西谷浩一監督は、もともと抜け目のないチームを作りますが、今年はとくにそう感じました。

 振り返ってみると、1回戦の鳴門(徳島)戦ですね。好左腕の冨田遼弥投手を思うように攻略できませんでしたが、それでも、三回に教科書通りのバッティングをして2点を先行しました。

 とくに4番の海老根優大選手が、外角の難しい球をチョコンと合わせるようにミートして、二塁手の頭上に打ち返した。あの打撃には、思わずうなりました。

 大阪桐蔭の打者に、こういう打撃をされたら、相手投手はたまったものではありません。

 そして、八回はスクイズで3点目をとった。文句なしの試合運びです。

 西谷監督がすごいのは、技ありのタイムリーを打った海老根選手を、次の試合から5番に下げたところです。たぶん、その後の打席で、気持ちがレフトスタンドに向いているような三振を二つしたからだと思います。

 海老根選手はその後の3試合で、2本塁打を含む7安打を打ちました。西谷監督のおきゅうがきいたのではないでしょうか。ほんまに、したたかな52歳です。

 近江もよく頑張ったと思います。左足をかばいながら投げる山田陽翔(はると)投手は、見ていて痛々しかった。

 三回は自ら交代を申し出たんでしょうね。それでよかったと思います。まずは、けがと疲れをしっかり癒やして欲しいです。

 大会を通して感じたのは、やっぱり調整の難しさです。新型コロナウイルスの影響で思うように練習や試合ができなかった出場校もあったと聞きます。

 それでも大会を開催してもらい、こうして野球を見られたことに感謝の気持ちでいっぱいです。やっぱりお客さんが入った甲子園はええです。

 夏はさらに明るい気持ちで、野球を楽しませてもらえるように願っております。(前・智弁和歌山監督)