教員の部活動負担を減らせ NPOが中学校に照明整備し受け皿に

鹿野幹男、佐々木凌
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 中学校の部活指導が教員の長時間勤務の一因とされている。その負担を減らすため、茨城県教育委員会は、7年後をめどに休日の部活指導に携わる教員をゼロにする目標を掲げる。先進的な中学校では、地域の人材が、他校の生徒にも一緒にスポーツを教える取り組みが始まっている。

試合・練習 土日休みゼロも

 県教委は昨年4月、県内の教員を対象に1カ月間の勤務時間を調べた。

 それによると、残業時間が45時間を超えた中学校教員は78・6%に上り、全国平均の62・6%を16ポイント上回った。残業時間45時間以下の中学校教員は21・4%。全国平均の37・4%を16ポイント下回った。県内の中学校教員は全国平均よりも残業時間が長いことがわかった。

 80時間を超えて残業した教員に理由を尋ねたところ(複数回答可)、部活動を挙げた教員が最も多く68・6%だった。授業の準備や成績処理・定期テストの作成、生徒指導よりも割合が高かった。

 県教委によると、日曜日に試合を控えて土曜日に練習することも多く、土日の休みがゼロのケースもあるという。

 長時間労働が常態化すれば教員を志望する人が減りかねない。危機感を抱く県教委は今年2月に有識者会議を立ち上げ、5月には部活動改革の方向性を示す提言を受け取る予定だ。

 また県教委は、教員がいなくても指導・引率できる学校外の部活動指導員を大幅に増やすなどして、様々な形で地域の人材を活用しようとしている。

 つくば市谷田部東中学校では4年前から週1回程度、バレー、サッカー、卓球吹奏楽などを教員以外の指導者が指導している。

 ただ、経験したことがないスポーツや文化活動の指導を任されたり、家庭の事情があったりして、部活の顧問になるのを重荷に感じる教員がいる一方で、生徒の熱意に応えて休日も指導したいという教員もいる。

 有識者会議では「地域によっては任せられる人材がいない場合もあるのでは」「部活指導がなくなると教員のやりがいが損なわれるのでは」などの意見が出て、議論は白熱している。

 21年度からは、つくば市立谷田部東中学校と水戸市立双葉台中学校で、希望する教員が部活とは別に、外部のスポーツクラブなどから報酬を受け取って、休日に指導できる取り組みも始まった。

外部人材 他校の生徒も指導

 部活の枠を超えて、学校でのスポーツ指導に取り組む先進事例も出てきた。

 平日の3月10日午後6時過ぎ、つくば市立谷田部東中学校のテニスコート。4基の照明のもとで、約10人の中学生らがボールを追っていた。同校ソフトテニス部の生徒もいれば、他校の生徒もいる。

 指導するのは、土浦第一高校付属中学校教諭の中泉光平さん(31)。小学校からテニスに親しみ、ボランティアで教えている。

 NPO法人「つくばフットボールクラブ」(つくばFC)が運営するテニスプログラムだ。昨年7月から始まった。

 つくば市や土浦市などの小中学生約20人が会員になっている。保護者から徴収した会費で運営する。指導者は約8人。別の仕事をしながら参加するボランティアもいるが、謝礼の支払いが必要な大学生もいる。

 つくばFCが500万円を投じた照明ができるまでは、練習は週3回程度だった。照明ができて平日夜の利用が可能になり、週5回まで練習を増やせるようになった。練習回数を増やすのは、将来的に指導者の収入を確保する狙いがある。

 このプログラムは21年度、学校の体育施設の地域開放を推進する文部科学省の委託事業に採択された。事業費は最大500万円。その一部が、つくばFCの人件費や指導者への謝礼に支給される。

 谷田部東中では部活動に所属する生徒が、教員以外の指導者の手ほどきを受けられる。そのクラブの運営にも、つくばFCは携わっている。石川慎之助理事長は「教員の負担が重い『ブラック部活』は問題だが、外部の指導者が持続的に安心して働ける環境も必要だ」と話している。(鹿野幹男、佐々木凌)