つげ義春氏「一介の漫画家でしかありませんから…」芸術院であいさつ

神宮桃子、黒田健朗
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 日本芸術院の新会員9人の会員辞令伝達式が1日、東京・上野の日本芸術院会館であった。選考方法を改めて初めての選考で、新分野の「マンガ」で選ばれたつげ義春さん(84)らが出席し、感想や抱負を述べた。

 出席した新会員はほかに、日本画家千住博さん(64)▽彫刻家の宮瀬富之さん(80)▽書家の星弘道さん(77)▽建築家の伊東豊雄さん(80)▽狂言師の野村万作さん(90)。つげさんと同じくマンガの新会員になったちばてつやさん(83)と、作家の五木寛之さん(89)は欠席し、指揮者小澤征爾さん(86)は娘の征良さんが代理で出席した。

 つげさんは「私は一介の漫画家でしかありませんから、教養も何もなくて、先生方の前では緊張しちゃって何も申し上げることもできない状態でございます。それでもこうして皆さま方にお会いできて本当にありがたい、うれしいと思っております。どうぞ今後とも……こんな短いごあいさつで申し訳ありません、どうぞよろしくお願いいたします」と話した。

 千住さんは「長く続くコロナ禍、そして様々な表面化した憂うべく事態の中に私たちは直面をしています。その中で、ますます芸術の役割は大きなものになると思います。芸術家として、芸術院会員として、微力ながら邁進(まいしん)いたします」と抱負を述べた。

 伊東さんは、黄色と水色の「ウクライナの色のネクタイ」を身につけて登場。「もう少し、芸術院の先生と一般の人とが親しみやすいような環境を作らなくてはいけないのではないかと思っておりまして」と課題を指摘し、「私はこれまでも小さな子どもさんの建築教育などに力を入れて参りましたが、自分の建築をきわめることはもちろん、そういった社会活動にも力を入れてまいりたいと思います」と意気込んだ。

 会員は非常勤の国家公務員で、年250万円の年金が支給される。任期は終身。芸術院は「美術」「文芸」「音楽・演劇・舞踊」の三つの部があり、その下の分科は、対象分野の拡充に伴い計18となった。

 新会員の選考は、これまで現会員のみが候補を推薦していたが、「選考が閉鎖的」などと指摘され、今回から外部有識者が候補の推薦や絞り込みに加わり、投票は従来どおり会員のみが行った。「マンガ」と同じく新たに対象分野になった「写真・映像」「デザイン」や、アニメや放送も加えて「演劇」から独立分科になった「映画」では、新会員が決まらなかった。(神宮桃子、黒田健朗)