第3回データは「21世紀の石油」出遅れた日本 無法地帯で不正が起こる
中川透 五郎丸健一
政府統計にまつわる逸話がある。終戦直後、吉田茂首相がマッカーサーに「国民が餓死する」と食料の緊急輸入を求めた。が、その一部しか実現しなかったのに餓死者はでない。「日本の統計はいい加減で困る」と抗議したマッカーサーに、吉田は言い返した。「日本の統計が正確だったら、むちゃな戦争などしません」
機知に富む会話が得意だった吉田が飛ばしたジョークだが、2019年2月、吉田の孫である麻生太郎財務相(当時)も国会でこの話について聞かれ、「小学生の時になんども聞かされた話だ」と認めた。
不正確な統計、データの軽視がもたらすデメリットは、単なる昔の冗談では済まない話だ。最近でも統計の誤りが引き金となり、国家が破綻(はたん)寸前まで追い込まれたケースもある。09年のギリシャだ。
国土交通省の統計不正が2021年12月15日に朝日新聞の報道で発覚しました。政府は問題を認めて謝罪しましたが、疑問は山積みのままです。統計を巡る不祥事はなぜやまないのか。その背景とデータ軽視がはらむ問題点について考えます。
統計と政策の改善は「車の両輪」
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