交尾知らぬまま「中年」に…挑戦6年の「デッキー」はパパになれるか

本間ほのみ
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 交尾ができないオスのデッキー(推定44)の子孫を残そう――。多摩動物公園東京都日野市)で、チンパンジーの人工授精に成功した。出産は5月後半~6月中旬ごろを予定する。2016年から始まった取り組みがうまくいくよう職員が見守っている。

 人間でいう中年のデッキーは交尾の仕方が分からない。おそらく野生だったが、推定2歳の時から鹿児島県の動物園で育てられた。園によると、人の手で育てられた動物は交尾の方法を学ばずに成長し、自然交配ができなくなることがあるという。

 04年に多摩動物公園に来てから、一度も繁殖しなかった。動物園では種を保存するため、血縁に偏りが生じないようになるべく多くの遺伝子を均等に次世代に残していくことが求められる。このためデッキーの子孫を残そうと人工授精の挑戦が始まった。

 飼育係や獣医師、繁殖の調査や研究をする職員らでチームをつくった。16年、メスのサザエに人工授精をし、妊娠。だが、出産まであと1カ月で死んでしまった。その後、別のメスで挑んだが、2年間妊娠に至らなかった。

 21年8月から、ミカン(16)に人工授精をした。これまでの反省から受胎能力が高いとされる元気な精子を準備し、人間が使う排卵検査薬の結果などから排卵日を見極めた。

 タイミングを変えながら人工授精したところ、3回目で妊娠。ミカンは11月に妊娠が確認後、しばらくはエサを残すなどつわりのような症状が見られた。年末から食欲は戻り、元気に過ごしている。

 総勢15人ほどの職員が関わったこの挑戦。担当者は「ストレスなく過ごし、無事出産してほしい」と話している。多摩動物公園は現在、休園中。出産の兆候が見られたらミカンは非公開になる予定。(本間ほのみ)