四国の転出超過、大幅緩和 徳島・愛媛・高知で減 コロナ影響か

阪田隼人
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 【徳島】県外への転出が転入を上回る「転出超過」が続く四国で、ちょっとした異変が起きている。2020年には転出者が大幅に減少。新型コロナウイルスの影響とみられ、21年の四国全体の転出超過数は、外国人を含めての集計を始めた14年以降で最少となった。

 総務省が1月末に公表した住民基本台帳に基づく人口移動報告で分かった。四国4県の21年の転出超過数は7974人で、ピークだった19年と比べ33%減となった。県別では、愛媛(2850人)と高知(1528人)が14年以降で最少。徳島(1737人)も20年から減少が続く。

 転出超過が緩やかになった背景には、転出者数の減少がある。国内で新型コロナの感染拡大が始まった20年は、転入も含めた移動自体が低調だったが、21年になると転入者数は前年より一気に増加した。

 20年と比較すると、東京や大阪など大都市圏との間で、転出超過が緩やかとなった傾向がうかがえる。徳島は、大阪圏への転出超過数が570人と前年の半数近くまで減った。

 ただ、香川は四国で唯一、転出超過が拡大し、過去最多(1859人)となった。20~30代の転出が増え、転入が微増にとどまったためとみられる。

 市町村別では、四国の全95自治体のうち20で転入が上回る「転入超過」だった。県庁所在地では、松山市が20年から、徳島市が21年から転入超過に転じている。IT企業のサテライトオフィスが集まる徳島県神山町では、30~40代の転入超過が比較的多かった。

 転出超過が緩やかになるのは、全国でも地方で見られる傾向だ。茨城、山梨、群馬で前年の転出超過から転入超過に転じた。一方、都心の東京23区は14年以降初めて転出超過に転じた。

 人口移動に詳しい、みずほリサーチ&テクノロジーズの岡田豊・上席主任研究員は、コロナ禍で都市部の飲食・サービス業が停滞し、地方からの転職にブレーキがかかった一方、リモートワークの普及で都会に住む必要性が薄れた影響もあると見る。

 「『転職なき移住』が可能だと実感できた今は、地方にとって大きな好機。地域資源をどう生かして人を呼び込むか、各自治体の政策が一層問われてくる」と話す。(阪田隼人)

四国の転入・転出超過上位の自治体

【転入超過】

香川県丸亀市  376人

②松山市     308人

高知県香南市  225人

④徳島県北島町  164人

⑤高知県香美市  125人

【転出超過】

高知市     894人

愛媛県今治市  762人

愛媛県宇和島市 591人

高松市     362人

⑤愛媛県四国中央市350人

     ◇

 コロナ下で地方移住への関心が高まる中、四国各県とも移住促進に力を入れる。新年度予算案では、テレワークの普及を踏まえた「転職なき移住」や「交流人口の拡大」を目指す事業が並ぶ。

 香川県は「お試しテレワーク」を新たな事業として始める。移住希望者に県内のコワーキングスペースの利用料や旅費の一部を補助する。

 徳島県は、ワーケーションや「複業」を通じて、都市部の人々が県内地域との関係を深めるプランを検討する。県の担当者は「テレワークの環境さえ整えば、どこにいても同じ仕事ができると、コロナ下で気づいた人も多い。一気に移住というのはハードルが高いが、まず地域とつながり、人が人を呼ぶ状況を作りたい」と狙いを語る。

 「釣り道場」と銘打ち、企業向けのワーケーションツアーを始めるのは愛媛県。担当者は「ワーケーション誘致の自治体間競争が激しくなる中、有数の釣りスポットがある地域の特色を生かしたい」と意気込む。

 高知県は「年間移住者1225組」(20年度実績は963組)という達成目標を掲げる。県内の暮らしや移住情報を発信するスマートフォンアプリ「高知家ゆる県民倶楽部」の登録会員(現在約6千人)を増やし、将来的な移住者の掘り起こしを目指す。