レーザー核融合で「歴史的成果」 ライト兄弟に匹敵する実験とは

有料記事

小堀龍之
[PR]

 強力なレーザーを一点に集中して超高温、高圧を作り、水素をヘリウムにする「レーザー核融合」の実験で、米国の研究所が昨夏、投入したエネルギーの7割の出力を発生させることに成功したと発表した。実用化には投入した量を超える出力を得る必要があり、道のりはなお長いものの、関係者は「歴史的な成果」と語る。核融合の研究はどこまで進んでいるのか。

 米国のローレンスリバモア国立研究所(LLNL)のチームは2021年8月、カリフォルニア州の国立点火施設(NIF)にあるサッカー場ほどの広さの設備で、192本のレーザーを一斉に照射した。

 「ホーラム」と呼ばれる鉛筆に付いた消しゴムくらいの金属製の筒の温度は1億度超に。中に入っていた重水素と三重水素(トリチウム)は、原子核と電子がバラバラのプラズマ状態になり、さらに水素の原子核同士が融合してヘリウムの原子核に変わった。

 この時、約100億分の1秒の間に1・35メガジュールの出力が記録された。瞬間的とはいえ、13ペタワット(世界電力の1万倍に相当)が出たことになる。それまでの最高記録だった実験の8倍に達したという。

 投入したエネルギーの70%にあたる量で、投入した以上となる「点火」に大きく近づいた。レーザーでX線を発生させる必要があるなど、途中でエネルギーの一部が失われてしまうが、燃料に吸収された分と比べると6~7倍の出力だったといい、チームは人類が初めて空を飛んだライト兄弟の初飛行に匹敵すると評価。今年2月、英科学誌ネイチャーに実験概要の論文を発表した。

 日本でレーザー核融合を振興…

この記事は有料記事です。残り1235文字有料会員になると続きをお読みいただけます。