「原発大丈夫か」迫る戦火、高まる懸念 チェルノブイリはロシア占拠

有料会員記事ウクライナ情勢

武田肇、比嘉太一
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 ウクライナへ侵攻したロシア軍が、1986年に爆発事故を起こしたチェルノブイリ原発を占拠した。チェルノブイリでは今も事故処理が続き、現地を知る日本の研究者らは影響を懸念する。ウクライナ国内にはほかにも15基の現役原発があり、国際原子力機関(IAEA)は安全確保を強く訴えている。

 チェルノブイリ原発はウクライナの首都キエフの北約100キロで、ベラルーシとの国境に近い。ウクライナ政府は2月24日、ベラルーシから侵攻を始めたロシア軍が同原発を占拠したと明らかにした。

 「驚き、戸惑っている」。京都大複合原子力科学研究所=旧原子炉実験所、大阪府熊取町=研究員の今中哲二さん(71)は話す。「史上最悪」と言われた事故後、旧ソ連時代の90年から約20回、影響調査のためチェルノブイリに通ってきた。

 現地では今も放射性物質を出し続けている原子炉の封じ込めが続く。今中さんは2016年、炉を覆ってきた通称「石棺」をさらに囲うため、新たに建設された巨大なシェルターに入り、炉内の調査もした。シェルターは、日本を含む世界40カ国以上の支援で同年完成した。

 今中さんは「現場では当時、約3千人の作業員が働いていた。今も数千人がいるはずだ」と話す。

チェルノブイリ原発事故

旧ソ連時代の1986年4月26日、ウクライナ北部のチェルノブイリ原発4号炉で発生した。外部電源を失った場合のテストで出力を下げて運転中、原子炉が暴走して爆発し、炉心がむき出しになって火災が続いた。10日間で放出された放射性物質は東京電力福島第一原発事故の約6倍とされる約520万テラベクレル。欧州の広範囲が汚染され、一部は日本にも届いた。高濃度汚染地域はウクライナ、ベラルーシ、ロシアにまたがり、避難者は約40万人にのぼる。

 IAEAへのウクライナ側の…

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    峯村健司
    (元・朝日新聞編集委員)
    2022年3月4日11時11分 投稿

    【視点】ロシア軍によるウクライナへの攻撃が激化している中で、最も懸念される被害の一つが原発です。ウクライナには稼働中の原発が15機あり、欧州最大のザポリージャ原発もあります。ロシア軍は「核テロ防止」を口実に原発の攻撃・占拠を強めており、放射性物資の