花畑牧場のベトナム人従業員スト、「職場放棄」「正当な権利」で対立

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中沢滋人
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 タレントの田中義剛氏が社長を務め、生キャラメルやチーズの製造販売で知られる「花畑牧場」(本社=北海道中札内村)で、ベトナム人従業員が起こしたストライキが波紋を呼んでいる。寮の水道光熱費値上げに抗議したものだが、会社側は労組結成前の突然の行為で「職場放棄だ」と主張。主導したとする4人に計200万円の損害賠償を求め、他の多くの従業員を出勤停止とした。従業員側は「正当な権利だ」とし、双方の主張は平行線をたどっている。

3カ月で水道光熱費「約2倍」

 花畑牧場は1992年設立で、北海道内に4カ所の工場(中札内村、音更町夕張市)を構えている。特定技能や特定活動の在留資格を持つベトナム人従業員の受け入れを1年半前から始め、現在、135人が働いている。

 従業員を支援する札幌地域労組によると、発端となる寮の水道光熱費値上げは昨年10月に始まった。

 寮の家賃はなく、月々の光熱費は7千円だった。それが10月は7545円、11月は7096円、12月は9862円、1月には1万5386円と、従来の約2倍に上がったという。同労組によると、ある従業員の月の手取りは残業込みで16万~18万円程度だという。

 1月給与が支給された1月25日、従業員数十人が会社との連絡に使うグループラインで、光熱費値上げに不満を持っていることや、値上げについて説明がないことに怒っていること、場合によっては皆で仕事を休むことなどを伝えた。当時に労組はなかったが、札幌地域労組は「彼らにとって精いっぱいの通告だった」という。

 1月26日朝、中札内村の十勝第2工場に寮からバスで出社してきた従業員たちは、田中社長を含む会社側に増額分の光熱費の負担を求め、問題解決まで仕事をしないと伝えた。その後、約40人がストライキに入った。

 一方、会社側が2月28日にウェブサイトに掲載した説明などによると、「朝の話し合いで田中社長が『問題は必ず解決する。2日間待ってほしい』と訴えたが、従業員が『信用できないから帰る』と言い、約40人が就労を拒否した」という。2日間の猶予を求めたのは、支払い方法や時期を確認するために必要だったという。

 ストの要因となった光熱費の値上げはなぜ行われたのか。

 会社側によると、光熱費は「実費分を負担してもらう内容になっている」といい、「ベトナム人従業員の間で『毎月7千円固定』という間違った認識がされてしまっていた」という。田中社長は朝日新聞の取材に対し、「契約では光熱費は約7千円となっており、昨今の燃料費急騰を受け、応分負担を求めた」と話している。

 一方、札幌地域労組によると、会社側は昨年12月、従業員に出した書類で、ゴミの分別徹底や年末調整の準備などの連絡事項の一つとして、光熱費について「今回、一律改定をしている」「実費負担」と示してきたという。

 従業員は10月以降、何度も会社側に抗議したり、説明を求めたりしたが、進展がなかったという。

 札幌地域労組は「光熱費の増額はベトナム人従業員にとって小さい額ではない。その扱いの変更は労働契約の変更にあたり、特に不利益に変更される場合はあらかじめ説明し、同意を得る必要がある」とし、一方的な光熱費の引き上げで、労働契約法に違反すると主張する。

ストの正当性巡り対立

 ストライキが正当かについて…

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