第1回「外国勢力の手先」中国のLGBTQ批判 背後に「西側」への抵抗感

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北京=高田正幸
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 北京市の北部、「鳥の巣」と呼ばれる国家体育場近くの喫茶店。知人の紹介で知り合った私の待ち人は、約束の時間に30分ほど遅刻して現れた。

 ハーフパンツに、青と緑のカラフルなブルゾン。刈り込んだ髪の毛を明るめの茶色に染め、鼻下に短いひげをはやしていた。

 「遅れてすみません」

 丁寧な口調で私に謝り、店員にエスプレッソを頼むと、自己紹介を始めた。25歳、職業は写真家、性別は男女どちらでもない、「ノンバイナリー」だ、と語った。

 「彼」や「彼女」と呼ぶにはふさわしくないこの人を、ここでは仮にジェシーさんと呼ぶ。中国の性的マイノリティー、LGBTQの人びとには英語名を名乗る人も多い。ジェシーさんもそうだった。

 ジェシーさんは語り始めた。生物学的には男性として生まれたが、12、13歳ごろに自らが性的マイノリティーだと意識し始めた。山東省で暮らしていた、小学生の頃だ。

18歳でカミングアウト 母の返事は…

 休み時間だっただろうか。ある日、男性の同級生たちが集まって、女性の性にまつわる話を始めた。みんな盛り上がっているのに、なぜか自分は関心を持てなかった。

 むしろ、彼らの言葉からにじみ出る女性に対する情感を、自分はある同級生の男友達に向けていることに気がついた。

 その日、家に帰ってすぐにパソコンをたたいた。当時すでに中国はインターネットが発達していたので、答えはすぐに出てきた。

 「以前から自分には他人と違うところがあると思っていました。その理由がわかったので、どちらかというとほっとしました」

 初めてのカミングアウトは、高校卒業間もない18歳の時だった。

 今も耳に残っているのは、母の言葉だ。

中国では、性的マイノリティーに対する批判がSNSで広がっています。どんな人たちが、どんな理由で攻撃しているのでしょうか。中傷を繰り返すインフルエンサーの一人が取材に応じました。記事後半でお伝えします。

 「子どもはどうするの」…

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男女格差が先進7カ国で最下位の日本。生きにくさを感じているのは、女性だけではありません。だれもが「ありのままの自分」で生きられる社会をめざして。ジェンダーについて、一緒に考えませんか。[記事一覧へ]

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