第8回「パパは一緒に行かないの?」ウクライナ離れる妻子、国境で涙する夫

有料会員記事ウクライナ情勢

ウジホロド〈ウクライナ西部〉=高野裕介
隣国スロバキアとの国境では家族連れらで長蛇の列が出来ていた=遠藤啓生撮影
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 何度も抱き合い、キスをし、再会を誓い合った。ロシア軍の攻撃が激しさを増すなか、ウクライナから国外に逃れた人が100万人を超えた。国境では家族が引き裂かれる光景が広がっていた。

 隣国スロバキアとの国境の街、ウクライナ西部のウジホロド。3日午前に訪れると、100人以上が出国のための列をつくっていた。家族連れの姿が多いが、最前列まで行くと男性はそこにとどまり、外国人以外で先に進むのは女性や子どもばかりだ。

 中年の男性が、妻や娘とみられる女性と抱き合っていた。一度は別れを口にしたが、再び抱き合い、離れない。女性たちがスロバキア側に下る坂を歩いていくと、男性はその姿が見えなくなるまで立っていた。

 右手で涙をぬぐう男性に話しかけると、「ごめんなさい。今は話をできるような心境ではないです」。去り際に、「これは悲劇以外の何物でもない」とつぶやいた。

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、国外に逃れた人は約120万人を超えた。半数以上がポーランドに脱出し、ハンガリーやモルドバ、スロバキアにも避難している。

 一方、ウクライナでは総動員令により、18~60歳の男性は招集の可能性があるため基本的に国を離れることができない。また、「ロシアと戦う」として志願兵になる人もおり、避難するのは子どもや女性がほとんどだ。

 「娘はこの状況を何もわかっていない。わからないまま過ごしてくれた方がいい」

 自動車修理工のミハイロ・ポペンコさん(30)は、ピンクの防寒着姿のオレクサンドラちゃん(2)と、妻ビータさん(30)を送り出した。

 自宅のある西部ラヒフはこれ…

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