ウクライナに侵攻しているロシア軍が、欧州最大のザポリージャ原子力発電所を占拠した。原発に対する攻撃は、国際法で禁じられた危険行為。前例のない暴挙に国際社会から非難の声が上がり、国連安全保障理事会は緊急会合を日本時間5日に開く。
「ロシア軍がザポリージャ原発を攻撃し、火災が発生した。ロシアはすぐに攻撃をやめ、消防隊を中に入れろ!」。4日午前2時半ごろ、ウクライナのクレバ外相がツイッターで訴えた。
同国の原子力規制当局によると、ロシア軍の攻撃が始まったのは、同日午前1時ごろ。同原発の所長はSNSで、「ロシア軍の砲撃で、消防隊が現場に近づけない」と訴えた。
ウクライナの原子力企業「エネルゴアトム」のペトロ・コチン社長代行は4日、同国のテレビで、「敵の部隊は発電所の管理棟前の広場から攻撃を始めた」と説明。攻撃は午前4時半まで続いたとし、「午前4時半に(ウクライナ軍の)防御が破られ、発電所や人員が支配された」と述べた。
ウクライナには稼働中の原発が4カ所あり、このうち最も東側にあるのがザポリージャ原発だ。欧州最大級の出力で国内の電力の2割をまかなっている。
今回の侵攻で、ロシア軍はロシア本土や、2014年に一方的に併合したクリミア半島から、ウクライナ西部などへ進軍している。その途上にある最重要のインフラ施設として掌握したとみられる。侵攻初日の2月24日には、ベラルーシから侵攻したロシア軍が、キエフの北100キロに位置し、1986年に爆発事故を起こしたチェルノブイリ原発を占拠している。
ロシア国防省は同28日、「ザポリージャ原発の周辺地域を支配下に置いた」と主張していた。比較的早い時期から、同原発の攻略を目指していたことがうかがえる。
ウクライナのゼレンスキー大…
- 【解説】
記事にあるジュネーブ諸条約の第1追加議定書は1977年採択、78年発効(ちなみに日本は2004年加入)。「国際人道法」というのは国際法の分野で、平和を掲げる理念的なもののように思われるかもしれませんが、この多国間条約は、まさにウクライナのよ

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