日野自動車、エンジンの排ガス・燃費性能偽る 搭載車は計11万台超

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神山純一 近藤郷平 磯部征紀 構成・三浦惇平 松本真弥
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 トラック大手の日野自動車は4日、エンジンが保安基準に合っているかどうかを調べる「型式指定」の検査で、排ガスや燃費について性能を偽る不正があったと発表した。

 不正のあったエンジンの搭載車は累計で11万台を超す。排ガス性能の耐久試験では、基準を満たすために処理装置のマフラーを途中で交換した事例もあった。意図的で法令に違反するような事例で、国土交通省が調べている。

 下義生会長は会見で「あってはならない不正行為で経営の責任は大変重い」と述べた。小木曽聡社長は「性能を満たさないことを知っていた。意図があったと理解している」と述べた。外部の調査委員会の結果を待って、責任の明確化を検討する。

 不正があったのはエンジン3機種で、2016年の9~12月に不適切な検査が行われた。3機種の21年度の販売数は計2万2千台で全体の35%に及ぶという。

 これらのエンジンは大型トラック「日野プロフィア」などに搭載され、車両の累計販売は計11万3469台。日野の21年の国内販売台数(約6万台)の2倍にあたる。新規の出荷は止めたが、不正がさらに広がる可能性もある。

 中型トラック「日野レンジャー」の約4万3千台については車両のリコール(回収・無償修理)を検討する。出荷停止やリコール対応で業績への影響も予想される。走行機能には影響せず、安全上の問題はないとしている。

〈日野自動車〉1910年に「東京瓦斯(がす)工業」として創業し、18年からトラックの生産を始めた。60年代からトヨタ自動車と業務提携し、2001年に子会社になった。21年3月末時点でトヨタが議決権の50・3%の株式を持つ。21年3月期の売上高は1兆4984億円で、世界約90の国・地域でトラックやバスを販売する。トヨタにもトラックなどをOEM(相手先ブランドによる生産)で供給する。21年3月末時点のグループ従業員数は約3万5千人。

 不正の背景について、数値目標の達成やスケジュール厳守へのプレッシャーが現場であったという。

 不正の有無は判明していない…

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    福田直之
    (朝日新聞コンテンツ編成本部次長=経済)
    2022年3月8日19時40分 投稿
    【解説】

     日野自動車による燃費不正は悪質さが目立ちます。  認証試験の燃費測定でエンジン性能を偽り、国と購入者をだましています。斉藤鉄夫国土交通大臣は8日の記者会見で「自動車ユーザーの信頼を損ない、かつ、自動車認証制度の根幹を揺るがす行為であり、

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