ロシアによるウクライナ侵攻が続くなか、日本の食卓への影響を危ぶむ声が上がっている。鮮魚店では海の幸が値上がりし、穀物の価格高騰や原油高は家計を圧迫しかねない。遠い国で起きた戦争が、身近な暮らしにも影を落とす。(山口啓太、斉藤佑介)
8日昼、東京・築地の鮮魚店「斉藤水産」では、従業員が仕入れたばかりのカニを水槽にせわしなく移していた。行き交う人を大きな声で呼び込んでいた仕入れ担当の男性従業員(40)の表情は浮かない。「すでにカニの取り合いが始まっている」
国産のカニの仕入れ値は2~3週間前に比べて2割ほど上昇。情勢悪化の影響で市場に出回るロシア産のカニが減り始め、他の産地に需要が集中しているためだと男性はみる。この日は仕入れ値が上がる前より毛ガニを100グラムあたり200円高い1500円で売った。
この1週間でノルウェー産のサーモンも入ってこなくなった。ロシア上空を通る航空機での輸送が困難なためだという。店頭にはロシア産のサケなども並び、「今後さらに仕入れに影響するかも」と心配する。
水産白書(2020年度)によると、主な水産物の輸入相手でロシアが占める割合は、カニ61・8%、サケ・マス類9・5%、エビ3・8%と日本との結びつきは深い。欧米や日本がロシアへの経済制裁を強めるなか、海産物の取引への影響が懸念される。
近くの老舗海鮮店「つきじか…

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