一度は捨てたふるさと アパレルブランド「0867」に込めた思い

中村建太
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 「0867(ゼロハチロクナナ)」をプリントしたTシャツやスウェットが、全国で売れている。岡山県真庭市の市外局番を冠したデザインは、杉原利充さん(40)がふるさとへの愛着を込めたものだ。東京からUターンし、ブランド化して3年目。地域振興にも大きく貢献している。

 旧勝山町(現真庭市)で育ち、高校からパンクバンド活動に没頭。二十歳を過ぎてもバイトをしながらバンドを続けた。周囲は定職に就くよう勧めたが、「型にはまりたくない」と耳を貸さなかった。濃い人間関係への煩わしさもあって、20代後半で上京した。

 だがしばらくすると、都会のクールな雰囲気が苦しくなった。自ら捨てたはずのふるさとが、懐かしい。「0867」のグッズ製作を始めたのは上京から3年ほどたった時。バンド時代にグッズ作りの経験はあり、数字だけのシンプルなデザインの方が「あか抜けてファッションとしていける」と考えたという。

 当初は売り物ではなく、地元の友人らにTシャツをプレゼントする程度だった。ブランド化を決めたのは東京からUターンして7年ほどが過ぎた2019年。小さなアパレル店「0867」(真庭市本郷)を立ち上げた。

 オープン日には約200人が訪れ、街中のスプレー書きアートのような荒々しいデザインには予想以上の反響があった。間もなく企業や市役所、警察署からコラボグッズの開発依頼も舞い込んだ。

 「0867」ファッションの人と街ですれ違い、会話が弾むことも。「田舎でもトガったことができる、と証明できた。もっと真庭を盛り上げたい」(中村建太)