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赤ちゃんの殺害防止「匿名で相談できる体制を」 内密出産の病院長

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奈良美里、西晃奈
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 岩手県花巻市で一昨年10月、出産したばかりの男児を殺害し、市内の駐車場に捨てたとして、殺人と死体遺棄の罪に問われた女性(32)の初公判が3月14日、盛岡地裁で開かれる。

 国内では現在、年間約85万人の子どもが生まれる一方、15万件前後の人工中絶が行われている。警察庁によると、生まれて1年未満の子どもを実の親が殺害する事件は、年間十数件起きているという。

 親が育てられない子どもを匿名で預かる「こうのとりのゆりかご赤ちゃんポスト)」を運営する慈恵病院(熊本市)の蓮田健院長は、子どもの殺害・遺棄事件の背景を知ろうと様々な裁判に関わってきた。

 こうした不幸な事件を防ぐためには、どのような取り組みが必要なのかを聞いた。(奈良美里、西晃奈)

 ――裁判に関わるようになったきっかけは

 7年半前、ゆりかごに赤ちゃんの遺体が置かれる事件があった。怒りが湧き、初めて裁判に行ってみると、母親が言うには知的障害と発達障害があり、社会から疎外されていたという。ゆりかごに置けば弔ってくれると考えたらしい。

 ゆりかごで2007年から14年間に159人を保護したが、彼女たちがなぜ赤ちゃんを預けるのか、背景を知らなかった。そこを調べて対策を立てないと、赤ちゃんの遺棄や殺害の防止にはつながらないと思うようになった。

 ――どう関わるのか

 本人の口から直接事情を聴くため、裁判を傍聴したり、留置場や拘置所で女性に面会したりする。赤ちゃんの遺棄や殺人を防ぐために、その実態を知り、常に現場に身を置くことが大事だと考えた。

 ――見えてきたものは

 ゆりかごに子どもを預けにきたり、特別養子縁組で育ててほしいと望んだりする女性の8~9割に、知的障害や発達障害、被虐待歴がある。母親が過干渉なことが多く、家族との関係が悪くて、相談しにくい。

 事件を起こすのは、無責任で冷酷な人間ではない。頑張ろうにも能力的にできず、支援してくれる家族もいなくて、孤立していた人たちだ。接している私たちに実情を説明する責務があり、社会には手を差し伸べてほしいと思う。

 ――花巻の事件について

 命を奪われた赤ちゃんのこと…

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