【詳報】ウクライナ侵攻6、3月7~9日(日本時間)の動き

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 ロシア軍がウクライナに侵攻し、首都キエフ周辺など各地で戦闘が続いています。一部の都市では「人道回廊」を通じた一般市民の避難が始まり、国内外に避難する人たちの数は増え続けています。国際社会からの反発が強まるなか、事態打開の見通しは立っていません。

(タイムスタンプは日本時間。括弧内は現地時間)

■■■日本時間3月9日■■■

22:30(ベルリン14:30)

独首相、戦闘機の提供案に否定的な見方

 ポーランドが保有する戦闘機「ミグ29」をドイツにある米軍基地に送り、ウクライナに提供する案があることに対し、ドイツのショルツ首相は9日、否定的な見方を示した。ショルツ氏は「私たちは様々な種類の防衛装備や武器を送ってきたが、具体的に何をしているのかを非常に慎重に検討しなければならない。間違いなく戦闘機はその一部ではない」と述べた。

 カナダのトルドー首相とベルリン会談した後の共同記者会見で語った。

 ロシアの軍事侵攻にあえぐウクライナにとって、支援国からの戦闘機の提供は重要だ。ゼレンスキー大統領は「直ちに送って欲しい」と語っている。

 だが、ロシアの反発は必至で、ロシアと北大西洋条約機構(NATO)の交戦に発展しかねない。ポーランドは自国だけが戦闘機を送ることを拒否し、米国に委ねる提案をした。米国はポーランドの提案を受け入れない意向を示し、ウクライナに戦闘機を提供する案は宙に浮いている。

22:10(ウィーン14:10)

チェルノブイリめぐり IAEA「致命的な影響ない」

 チェルノブイリ原発の外部からの電力供給が失われたとウクライナ政府が主張している問題で、国際原子力機関(IAEA)は9日、公式ツイッターで「安全性に致命的な影響はない」との見方を示した。使用済み核燃料プールの冷却水の量などから、電力供給がなくても「効果的な熱の除去に十分」とみているという。

21:15(キエフ13:15)

ウクライナ外相「予備のディーゼル発電機、48時間で停止」

 ウクライナのクレバ外相は9日、自身のツイッターで、チェルノブイリ原発について「全ての電力供給が止まった」と述べ、「予備のディーゼル発電機による給電は48時間。その後は使用済み核燃料の冷却システムが停止する」と訴えた。欧州全体に危険を及ぼす放射性物質の漏洩(ろうえい)が差し迫っているとも指摘し、補修作業のための停戦要求を、国際社会がロシアに対して緊急に行うようにも呼びかけた。

20:00(キエフ13:00)

チェルノブイリ原発 最悪の場合「放射性物質が放出の恐れ」

 ウクライナの原子力発電公社「エネルゴアトム」は9日、ロシア軍に占拠されているチェルノブイリ原発への電力供給が止まったため、使用済み核燃料の冷却ができなくなっている恐れがあることを明らかにした。戦闘により、復旧作業は困難で、最悪の場合、「放射性物質が放出される可能性がある」とした。ロイター通信などが報じた。

 電力の喪失により、原発の消火や排気の設備が動かない可能性もあるという。

19:10(オタワ05:10)

カナダがウクライナに追加支援を表明

 カナダのトルドー首相は9日、自身のツイッターで「いましがた(ウクライナの)ゼレンスキー大統領と話し、高度な軍事装備を追加で送ると伝えた」と明らかにした。

 トルドー氏はゼレンスキー氏と「ロシアに対する制裁やウクライナに対する人道支援」についても議論したという。

18:00ごろ(イラク南部ナシリア12:00ごろ)

小麦粉などの価格高騰を受けて、イラク南部で抗議デモ

 ロシアのウクライナ侵攻の影響で小麦などの価格が世界的に高騰していることを受けて、イラク南部で9日、市民による抗議デモがあった。AFP通信が伝えた。南部の都市ナシリヤの中心部では500人以上の市民が抗議活動を実施し、元教師の男性は「価格高騰が我々を絞め殺そうとしている」と嘆いた。

 朝日新聞助手が9日に確認したところ、首都バグダッドの食料品店では、ロシアによるウクライナ侵攻前は50キロ入りで1万2千イラクディナール(約940円)だった小麦粉が、9日には3倍以上の4万イラクディナール(約3100円)に。また、ひまわり油(1リットル入り)の価格も侵攻以前の2千イラクディナール(約150円)から約2倍の4千イラクディナール(約310円)となり、市民生活を圧迫し始めている。

18:00(ブリュッセル10:00)

EU、ベラルーシをSWIFTから排除へ

 欧州連合(EU)は、ウクライナへの軍事侵攻に対する追加の経済制裁を発動することで一致した。ロシア軍に協力するベラルーシの3銀行を国際的な決済システムである「国際銀行間通信協会(SWIFT)」から排除する。また、ロシアの航空会社をEU域内から締め出したのに続いて、海運でも制裁を科す。

 EUの回り持ち議長国フランスが9日、ツイッターで明らかにした。加盟27カ国の代表者会議で合意したといい、正式な手続きに入る。

 巨額の富でプーチン政権を支えているとされるロシアの新興財閥の実業家(オリガルヒ)らについては、EU域内の資産の凍結などを科しているが、さらに対象者を拡大する。

17:10

滋賀県知事「ウクライナ避難民受け入れる」

 滋賀県三日月大造知事は9日、ウクライナからの避難民を県として受け入れる考えを表明した。受け入れ場所は、教育施設や県営住宅などが候補という。

 三日月知事は会見で「県として受け入れる用意があることをきちんと示し、早急に準備にかかる」と述べた。国から要請はないが、県として判断したという。

 県によると、昨年12月31日現在でウクライナ人は県内に4人いる。一方、ロシア人は27人という。三日月知事は「いがみ合うことのないように、県民の良識に呼びかけたい」と話した。

16:40(キエフ9:40)

ウクライナ政府「人道回廊6ルート設置見込み」

 ウクライナ政府は9日、激戦地から住民を避難させるためのルートを確保する「人道回廊」について、同日に六つのルートが設置される見込みだと発表した。

 ルートは、南部のザポリージャ原発に隣接するエネルゴダルからザポリージャまで▽北東部のスムイから中部ポルタワまで▽南東部のマリウポリからザポリージャまで▽南東部のボルノバーハからポクロフスクまで▽北東部のイジュームからロゾワまで▽イルピンなどキエフ近郊からキエフまでなど六つの予定。

 キエフ近郊からの第1陣は現地午前11時半(日本時間午後6時半)に出発予定という。

16:00(北京15:00)

中国、ウクライナに人道支援物資を提供へ

 中国外務省の趙立堅副報道局長は9日の定例会見で、中国赤十字会がウクライナに対し食料品や生活必需品など計500万元(約9200万円)相当の人道支援物資を提供すると明らかにした。中国がロシアに寄っているとみる国際社会の批判をかわし、人道に配慮する姿勢を示す狙いがあるとみられる。

 趙氏によると、支援物資を乗せた飛行機の第1便は9日に北京を出発した。毛布や防水シート、懐中電灯などが含まれている。

 中国は、ロシアとウクライナの双方に配慮を示すあいまいな姿勢を続けている。趙氏は会見で、米国がロシア産の石油や天然ガスを禁輸とする制裁を決めたことに反対を表明。「関係国の経済と人びとの生活に深刻な問題をもたらし、分裂と対抗を激化させるだけだ」と批判した。

15:45

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