第4回正直者がバカを見た 郵便顧客データ流用、指示した役員「ゼロ」の怪

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藤田知也
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郵便局の裏組織

 「顧客情報を不適正利用した。よって社員就業規則により注意する」

 ある郵便局長の手元に1月末、1枚の紙が届けられた。具体的な処分理由も押印もない、数行ばかりの「処分通知」だ。

 この局長は昨年12月にあった日本郵便の実名アンケートで、顧客情報を全国郵便局長会の政治活動に流用したことがある、と正直に答えた。処分も覚悟のうえで、組織の立て直しへの願いも込めた。

 参院選が近づくと、打ち解けやすい顧客を窓口で物色した。自民党公認で擁立する組織内候補の得票につなげるためだ。後援会入会を働きかける支援者名簿を作成するのに、カタログギフトの利用者の申込書の控えから個人情報を抜き出した。

 最大の理由は、会社の人事に強い影響力を握る局長会役員らのプレッシャーだ。「表」の日本郵便で100局前後を束ねる地区連絡会の統括や副統括を務める局長が、「裏」と呼ばれる局長会では地区会長や理事を兼ねている。

 「裏」からの指示では100人ほどのリスト作成がノルマとされ、頻繁な報告を求められた。親戚や友人の名前だけで埋めた名簿は突き返された。「局周」と呼ばれる顧客の獲得が重視されるためで、地縁の薄い若手は郵便局の物販事業の履歴を参考にするよう促された。要求に従わなければ「表」の人事評価に響きかねず、個人情報の管理・保護ルールに反するとわかっていながら不正を重ねた。

 日本郵便の調査担当者にもそう訴えた。なのに――。

 1月21日に公表された調査…

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