旅行中の事故、息子と離ればなれに 絶望の先にあったカーリング

遠田寛生
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 北京冬季パラリンピックで、混合種目の車いすカーリングに出場している米国代表にモンゴル出身の女子選手がいる。

 バトユン・ウランチメグ(48)。愛称は「オユナ」。リード(1人目)として8日までに6試合に出場した。

 2勝4敗と苦しい状況に立たされているが、上位4チームによる準決勝進出は諦めていない。「やれることはたくさんある」と前を向く。

 27歳の時、観光で訪れた米国で車の事故に遭い、下半身不随になった。

 身寄りのない地で途方に暮れた。

 モンゴルに残してきた息子とは、もう会えないと覚悟した。

 自死を考えたこともある。

 新しい希望をもたらしてくれたものの一つが、カーリングとの出会いだった。

 通訳、大学職員としての顔も持つオユナ。

 「考える力が試される競技。性に合っていると思えた」

 紆余(うよ)曲折はあったが、米国に息子を呼び寄せ、一緒に暮らすこともできた。

 パラリンピック初出場のオユナにとって、すべてが新鮮な経験だ。

 選手村では色々な国・地域の選手と交流している。「ピンバッジを交換したり、写真を一緒に撮ったり。楽しく過ごせている」

 モンゴルの選手団にも会えたという。「話をした後に記念写真も撮れた」と自慢げだ。

 一生忘れられない思い出になったと振り返るのが、4日夜にあった開会式。

 「米国代表としてスタジアムで呼ばれ、行進した。言葉に表せないほどうれしかった。スタジアム内からだと花火が全部は見えなかったのが唯一、残念」と笑う。

 自分以上に喜んでいたのが、モンゴルに住む母親だった。北京とは時差がないため頻繁に連絡をとっている。

 開会式後に連絡をとると「泣いて喜んでいた。こっちもジーンときた」。

 モンゴルにいる親族も見てくれている。最後まで諦めない姿勢を示したいという。(北京=遠田寛生)