第12回「転んだ子いる」残業時給80円で何でも対応 教員の仕事の線引きは

有料記事

三島あずさ
[PR]

 「定額働かせ放題」「やりがい搾取」――

 近畿地方の公立小学校で6年生を担任する40代の女性教員は、教員の働き方を皮肉るこれらの表現を、本当にその通りだと日々感じている。

 会社員の夫とともに、高校生と小学生の子どもを育てながら働いている。自宅から勤務先までは、車で10分ほど。子どもたちを送り出して、あわただしく出勤し、すぐにクラスの子どもたちを迎える。

 午前8時半~午後5時が「定時」だが、午後3時25分に6時間目の授業が終わると、すぐに会議が入る日が多い。

 5時をまわり、会議が終わってから、ようやく採点や子どもたちのノートの確認といった「自分の仕事」にとりかかる。それも、「急なトラブル対応がなければ」の話だ。

 我が子に夕食を食べさせるため、7時ごろ帰宅。家事が一段落してから、午前1時ごろまでかかって、学級通信づくりなど持ち帰った仕事をする。朝は7時前に起きるのがやっと。高校生の子の弁当は、夫が作る。

 夕食後、再び出勤することも。土日もどちらかは出勤し、どうにか仕事をまわしている。平日用のおかずも、週末に作り置きや下準備を済ませる。

「月給は年齢×1万円」。教員になりたてのころ、先輩から聞いた話に胸を膨らませた女性ですが、「現実は違った」と語ります。

 子どもたちが小さい頃は、近…

この記事は有料記事です。残り1698文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

連載いま先生は(全22回)

この連載の一覧を見る