筑豊(福岡県)の炭坑労働者だった山本作兵衛(1892~1984)が描き、2011年にユネスコの「世界の記憶」(旧記憶遺産)に登録された炭坑記録画の原画78点などを並べた展覧会が、東京都八王子市の東京富士美術館で開かれている。劣化を防ぐために登録原画が公開される機会は限られており、登録後に東京で大規模に展示されるのは初めてだ。
作兵衛は現在の福岡県飯塚市で生まれ、7歳で炭坑に移住、63歳で閉山により退職するまで炭坑で働き続けた。その間、時代は明治から昭和に変わり、華やかだった石炭産業は衰退へと向かっていった。
炭坑記録画を本格的に描き始めたのは、宿直警備員として働いていた1958年ごろ。子や孫に伝えたいと、最初は墨で描き、64年からは色を塗るようになった。
「世界の記憶」に登録された記録画と記録資料は計約700点あり、その多くを田川市石炭・歴史博物館(福岡県)が所蔵する。
「寝掘り」(64年)は、作…
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