第2回「じか当たり」にあっさり認めた統計不正の本丸 残った記者の違和感

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 「6カ月分とか。まとめて出てくることがあります」

 2021年8月、県庁舎の会議室。統計担当の職員は、記者2人にこう説明した。

 記者「電卓で足し算するんですね」

 職員「はい。足す数字をメモのように書いて、それを足します」

 建設業の受注実態を表す統計の調査のために、建設業者が毎月提出する受注実績。それを無断で書き換えて、実際は半年分の実績なのに、1カ月分だったことにしていたとの説明だった。

 月ごとの受注動向を追うため、毎月集計して、毎月公表する統計なのに。少なくとも統計を見る側は、1カ月分の受注規模を表す統計だと信じているはずなのに。こんなことで本当にいいのだろうか――。

 朝日新聞が昨年12月に報じた国土交通省による統計不正のスクープは、結実するまでに半年の時間を要しました。あまり明かされることがない新聞記者の「調査報道」の裏側を、ぎりぎりまで公開します。連載の2回目です。

アフガン激動の日に重要な取材アポ

 都道府県の職員らはあくまで…

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    奥山晶二郎
    (サムライトCCO=メディア)
    2022年3月29日18時29分 投稿
    【視点】

    <「調査報道」の裏側を、ぎりぎりまで公開>という、率直な紹介で始まる連載。 いわば、編集後記を、そのまま連載にしてしまった企画です。 合間に挟まれる記者のリアクションが、ちょっと新しくて。 <取材チームの問題意識のほうがず