第2回「じか当たり」にあっさり認めた統計不正の本丸 残った記者の違和感
「6カ月分とか。まとめて出てくることがあります」
2021年8月、県庁舎の会議室。統計担当の職員は、記者2人にこう説明した。
記者「電卓で足し算するんですね」
職員「はい。足す数字をメモのように書いて、それを足します」
建設業の受注実態を表す統計の調査のために、建設業者が毎月提出する受注実績。それを無断で書き換えて、実際は半年分の実績なのに、1カ月分だったことにしていたとの説明だった。
月ごとの受注動向を追うため、毎月集計して、毎月公表する統計なのに。少なくとも統計を見る側は、1カ月分の受注規模を表す統計だと信じているはずなのに。こんなことで本当にいいのだろうか――。
朝日新聞が昨年12月に報じた国土交通省による統計不正のスクープは、結実するまでに半年の時間を要しました。あまり明かされることがない新聞記者の「調査報道」の裏側を、ぎりぎりまで公開します。連載の2回目です。
アフガン激動の日に重要な取材アポ
都道府県の職員らはあくまで…
- 【視点】
<「調査報道」の裏側を、ぎりぎりまで公開>という、率直な紹介で始まる連載。 いわば、編集後記を、そのまま連載にしてしまった企画です。 合間に挟まれる記者のリアクションが、ちょっと新しくて。 <取材チームの問題意識のほうがず