震災で行方不明の母捜し、故郷で猟師に 奪った命を余さずジビエに

有料会員記事

編集委員・東野真和
[PR]

現場へ! 生きた「証」その後②

 「私が貨物船の乗組員として就職をしてからは、休暇で半年に一度実家に帰ってくることを母は楽しみにしていました」

 岩手県大槌町の東日本大震災犠牲者回顧録「生きた証(あかし)」2017年度版で、行方不明の母・兼沢幸子さん(当時53)を語った長男・兼沢幸男さん(37)は今、故郷に戻り、猟師をしている。すべては震災がきっかけだった。

 幸子さんを捜し続けた兼沢さんは、関東の海運会社を退職、仮設住宅向けに大忙しだった町内のプロパンガス設置業者で働き始めた。3年後、生まれて初めて米を買った。もらっていた親類の稲田が鹿に荒らされたからだった。

 ハンターが高齢化したうえ震災後に狩猟意欲が低下したことや、温暖化積雪が減り生息しやすい場所が増えたことなどから、鹿は急増。一方で町内の農業経営耕地面積は8割以上減り、耕作放棄地が増えて、鹿が続々と里に下りて来たのだった。

 「俺が退治する」。兼沢さん…

この記事は有料会員記事です。残り905文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【無料会員限定】スタンダードコース(月額1,980円)が3カ月間月額100円!詳しくはこちら