祭り好きだった娘へ、ライバルへ「見てるか」 郷土芸能守る父、仲間

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編集委員・東野真和
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現場へ! 「生きた証」その後④

 ボーナスをもらうとお祭りのたびに母親に餅代、煮しめ代を渡し、気遣いする子でした。(「生きた証(あかし)」2016年度版)

 岩手県大槌町の小林一成さん(82)が7年間の仮設住宅暮らしの末、元の小鎚神社前に再建した自宅。床の間に、地元の郷土芸能・城内大(だい)神楽(かぐら)の獅子頭が八つ並ぶ。東日本大震災の津波で流されたがれきの中から見つかった一つを見本に、東京・浅草の職人の元に持ち込んで作ってもらった。祭りになれば、50人以上いる保存会員の老若男女がかぶり、神社で演舞したり町を練り歩いたりする。

 その獅子頭を、次女の秀子さん(当時38)が額の中から見下ろす。「いまだにどこかにいるような気がして」と小林さんは言う。

 大槌町では1286人の震災犠牲者のうち3分の1が見つかっていない。中でも秀子さんは、どこで被災したのかさえわからない。震災当日の午後、内陸の盛岡市に入院していた母の和子さん(78)の元から大槌町に戻ると告げて、車で出発したのが最後だった。持っていた携帯電話の場所だけでも確かめたいと、小林さんは電話会社に問い合わせたが「親子でもプライバシーの関係で教えられない」と断られた。

 お祭り好きで明るく、家族思…

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