引き揚げ船を3Dプリンターで模型に、舞鶴高専生が記念館に寄贈
大野宏
戦後にシベリア抑留者が乗った引き揚げ船や上陸した桟橋などの模型を、舞鶴高専の学生が3Dプリンターで作り、9日に京都府舞鶴市の舞鶴引揚記念館に寄贈した。「視覚障害がある人に触ってもらい、展示内容を理解する助けにしてほしい」と話している。
記念館の展示は触れないものがほとんど。館周辺の復元桟橋や慰霊碑は大きいため、視覚障害者には形が理解しづらい。電気情報工学科の5年生3人が、館の学芸員と相談しながら卒業研究として取り組んだ。
上村洋介さんが作った「興安丸」は下関(山口県)と朝鮮半島の釜山を結ぶ連絡船として建造。戦後は釜山からの引き揚げや朝鮮戦争での国連軍の輸送に使われた。1953年からナホトカや樺太、中国から舞鶴へ計20回、約1万8千人を運び、シベリアからの最後の引き揚げ船となった。
上村さんは館の紙製模型や造船会社の船室配置図などを元に約半年かけて3Dモデルを作製。全長約55センチ(230分の1)の船体は4分割して出力した。全部で約60時間かかったという。
館は当面は入り口に展示するという。(大野宏)
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