市和歌山 無我夢中に目標をクリアしてきた 半田監督の10年

西岡矩毅
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 市和歌山を率いる半田真一監督(41)は、今年で監督になって10年を迎える。「ほんまは監督なんてやるつもりなかったですからね」。就任当時を思い返し、そうつぶやいた。

 1996年に市和歌山商(現・市和歌山)に入学し、左翼手として活躍。99年に愛知学院大に進学。卒業後、2004年に母校のコーチとなった。

 当時は「次期監督」と言われるコーチが他にいた。しかし、そのコーチが県外の高校に移り、12年に前監督が引退したことから、半田コーチが監督となった。

 「次の監督が来るまでのつなぎ」。そんな気持ちで臨んだ12年秋の新人戦初戦。和歌山商に7―15の8回コールド負けした。OBからは「同じ商業高校に、なに負けてるんだ」と責められた。

 「自分が市高の伝統を潰してはいけない」と気持ちを改め、練習量も増やした。同年秋の近畿大会出場をかけた県2次予選準決勝で再び、和歌山商と戦い、5―4の接戦を制した。選手たちは泣いて喜んだ。

 しかし、決勝の智弁和歌山戦は0―14の完敗。それ以降、智弁和歌山との戦いが続いた。13年は、春の県予選で0―11、夏の全国選手権和歌山大会は0―4、新チームになった秋の県2次予選は3―6。守りに重点を置いたチームづくりで徐々に点差は縮まるものの4連敗した。

 「なかなか勝てない悔しさを常に持ち続けないといけない」とグラウンドのスコアボードに「3―6」の点数をつけ、練習に取り組んだ。

 そして、14年夏の和歌山大会決勝。3―2で智弁和歌山を破った。監督として初めて夏の甲子園の土を踏んだ。

 当時2年生で、現在は市和歌山でコーチを務める益田拓磨さん(24)は「当時の半田監督の練習は走り込みばかりできつかった。でも、着実に上のレベルで勝たせてもらえたので、ついていけた。情熱を持って生徒と接してくれた」となつかしむ。

 10年を振り返り、半田監督は「強くなれたとはまだ思っていない。ただ、目標とするステージは上がってきていると思う」と話す。

 今年のチームも、半田監督就任後初めての公式戦と同じように秋の新人戦で和歌山商に負けて始まった。「まるで(監督としての)第2章の始まりですね」。新たな気持ちで選抜の舞台に挑む。(西岡矩毅)