くじけない心がつないだ縁 横浜と陸前高田、2つのジャズ喫茶の物語

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足立優心
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 【神奈川】現存する日本最古のジャズ喫茶といわれる横浜・野毛の「ちぐさ」は一度、店をたたんだことがある。再出発を果たした背景には、11年前の東日本大震災があった。いま、ライブができ、博物館の機能も備えたジャズミュージアムに生まれ変わろうとしている。

 津波に流された店の前で男性がレコードを手にたたずんでいた。震災直後に掲載された新聞記事。岩手県陸前高田市でジャズ喫茶「h.イマジン」を営む、冨山勝敏さん(80)だった。

 震災の1年ほど前に火事で店が焼失したこと、再開してわずか3カ月で津波で再び店を失ったこと、それでも何とか前を向こうとしていることが書かれていた。

「こんな状況だけど、音楽って素晴らしいな」

 記事はちぐさのスタッフ、新村繭子(しんむらまゆこ)さん(43)の目にも留まった。ちぐさも時代の波に翻弄(ほんろう)されてきた。開業は1933年。戦中、「敵性音楽」と見なされたジャズレコードが没収され、店は45年の横浜大空襲で全てを失った。

 戦後に再建したが2007年、マンション建設のため立ち退くことになった。10年に復活イベントがあったが、当時はその後の見通しは立っていなかった。記事を読んだ新村さんは、「辛いことを乗り越えて、何度でも復活しようとするスピリットに共感した」。イベントに関わった仲間とともに、被災地のためにできることはないか、考え始めた。

 11年4月、新村さんら野毛…

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