茨城の津波対策はどこまで進んだのか

谷口哲雄
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 東日本大震災の発生から11日で11年になる。地震の激しい揺れに加え、約190キロの海岸線を持つ茨城県内にも、推定で高さ3~7メートルの津波が押し寄せ、大きな被害をもたらした。県や沿岸自治体の津波対策は、どこまで進んだのか。

 北茨城市の大津漁港近くの公園に、高さ10メートルの避難タワーが立っている。2014年度に市が約4400万円をかけて建設した。50平方メートルのスペースに約100人が避難できる。津波襲来時、高台への避難が間に合わない釣り人らの利用を想定している。

 タワーの傍らには、この地点に到達した4・3メートルの津波の高さを刻んだ記録碑がある。「甚大な被害を永く記憶し、この震災の教訓を風化させることなく後世に伝える」と建立の目的が記されている。

 北茨城市は県内では、推定で最も高い最大7メートル近くの津波に襲われ、5人が亡くなり、1人が行方不明になっている。

 震災後は2カ所の避難タワーのほか、海面を監視する4カ所のカメラや、緊急時に避難を呼びかける防災無線を新設した。最大16メートルの津波を想定して浸水地域を示したハザードマップも全戸に配布した。

 市総務課の担当者は「ハザードマップは普段から手に取って避難場所や経路を考えておくことが大切。住民に日頃から防災を意識してもらえるよう、市の広報誌には防災関連の記事を毎月載せている」と話す。

 県もハードとソフトの両面で対策を進めてきた。基本になるのは、国の中央防災会議が示した考え方に基づき、津波を二つのレベルに分けて対策を立てることだ。

 数十年から百数十年ごとに起きる比較的頻度が高い津波が「レベル1(L1)」。東日本大震災のように頻度は極めて低いが、いったん起きると甚大な被害をもたらすのが「レベル2(L2)」の津波だ。

 いずれの場合も早期避難が最も重要なことに変わりはないが、L1では防潮堤などのハード対策で人命と建物などの財産を守ることをめざす。L2では津波が防潮堤を乗り越える可能性があるため、ハザードマップの整備など、人命を最優先したソフト対策が中心となる。

 防潮堤は全長194キロの海岸に計47キロを整備する。県河川課などによると、海岸を16区間に分けて最大4・2メートルのL1津波を想定。防潮堤の高さは区間ごとに5~8メートルとした。大津漁港(北茨城市)と大洗港区海岸(大洗町)で計0・7キロが未完で、23年度までの完成を予定している。

 ただし防潮堤があれば安心というわけではない。県河川課の柏谷聡課長補佐は「防潮堤は避難のための時間稼ぎに過ぎない。津波の恐れがあれば、まず逃げて」と念を押す。

 L2津波は最大14・8メートルが想定されている。防潮堤では防ぎきれず、いかに早く逃げるかの避難対策が柱となる。

 県は津波のほか洪水や土砂災害対策も含めたパンフレットを防災イベントなどで配っている。毎年11月5日の「津波防災の日」の前後には沿岸の自治体で防災の催しを開いてきた。災害時に初期消火や避難誘導などにあたる「自主防災組織」の結成を補助する事業も21年度から始めた。

 県防災・危機管理課の池田孝法課長補佐は「大災害時は公的支援が届くまでに時間がかかる。自分の身は自分で守る『自助』、近隣で支え合う『共助』も含めた地域防災力を高めることが重要」と強調する。(谷口哲雄)

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