東日本大震災から11年。避難者同士がつながり、地域住民らが支える取り組みが、都内各所で続く。現在も3千人以上が避難生活を送る東京で11日、様々な思いを抱き、遠く離れたふるさとへ、思いをはせた。何年経っても、忘れない――。(御船紗子、武田啓亮)
知らない土地で外に連れ出してくれたのは
「自分がこうして11年も過ごすとは思わなかった。この場所に支えられた」
東京都中野区白鷺(しらさぎ)の都営鷺宮住宅の集会所で、宮城県気仙沼市出身の芳賀唯未さん(34)が口を開いた。11日、この場所で10年以上続く避難者交流サロン「来(こ)らっせしらさぎ」に約20人が集まり、これまでの日々を1人ずつ振り返った。
芳賀さんは現在、夫と5人の子どもと中野で暮らす。津波で母・文恵さん(当時46)を亡くし、自宅も流された。当時一緒に住んでいた家族は全員地元を離れ、今は関東で暮らす。
夫の知人を頼って板橋へ避難した直後の3月28日、文恵さんが見つかった。長女を妊娠中だった芳賀さんは、気仙沼へ戻ってお別れすることができなかった。何もする気が起きず、引きこもりがちになった。
避難して1、2年が経ったこ…
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