プーチン氏が「冷戦型」に引き戻す世界 ロシアの暴走と米国の失敗

有料会員記事ウクライナ情勢

聞き手・小村田義之
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 ロシアのプーチン大統領が踏み切ったウクライナ侵攻によって、既存の国際秩序が突き崩されていくような不安が広がっている。グローバル化が進み、国家の役割が相対化されるかにみえた冷戦後の30年を経て、これから世界はどこへ向かうのか。秩序は再構築されるのか。国際政治学者の田中明彦さんに聞いた。

たなか・あきひこ

1954年生まれ。東京大学教授、副学長、国際協力機構理事長を経て政策研究大学院大学学長。2019年から国連UNHCR協会理事長。

 ――ロシア軍のウクライナ侵攻は、2001年の米同時多発テロ以来の衝撃です。

 「それだけのインパクトがあると思います。ただ、欧州の人にとっては、さらにさかのぼって、1939年のドイツ軍のポーランド侵攻を想起させるものです」

 ――確かに今回はテロではなく、国家による侵略です。

 「同時多発テロを起こしたのはアルカイダという非国家主体で、21世紀型の脅威でした。これに対しロシアの侵略はあまりに古典的な、時計の針を80年以上も戻すような危機に見えます。主権国家の栄光を守ることが最大の善だと錯覚した指導者がいる。戦争が国家の普通の行為だった近代の世界に生きているかのようです」

ヒトやモノが自由に行き来できるようになった世界が、プーチン氏によって冷戦終結前に引きずり戻されてしまった――。田中明彦さんは、そう指摘します。記事後半では、今後の国際秩序や、そのなかで日本が取るべき行動などについて語ります。

「歴史は一直線では進まない」

 ――田中さんは冷戦後の1996年に出した著書「新しい中世」で世界を「新中世圏」「近代圏」「混沌圏」に分類しました。

 「20世紀後半に民主主義国

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