ロシア軍がウクライナの都市部への包囲を強めるなか、戦闘による市民の巻き添えが懸念されている。ロシアは戦闘地域からの民間人の避難ルートを確保する「人道回廊」を設け、一部で退避が始まったが、ウクライナ側は攻撃が続いているとロシアを非難している。ロシアは紛争の中で人道回廊をどのように用いてきたのか。身をもって体験した中東シリアの人たちからは、怒りの声が上がる。
「ロシアは人道回廊を提案しながら爆撃を強めて街から人々を追い出し、破壊した。残った者はテロリストとして殺されたり、逮捕されたりした」
2016年12月、ロシアの支援を受けたアサド政権が制圧した第2の都市アレッポ。反体制派の拠点になっていた東部で制圧直前まで暮らしていたNGO職員アナス・ザカリヤさん(34)は、朝日新聞の電話取材にそう憤った。
シリアでは11年、民主化運動「アラブの春」が波及し、反政府デモが広がった。アサド政権はこれを徹底的に弾圧し、武器を取った反体制派との内戦に突入。「イスラム国」(IS)などの過激派組織も台頭し、戦況は泥沼化した。
これを決定的に変えたのが…

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