「東欧のシリコンバレー」ウクライナに危機 日本のIT企業も進出
女屋泰之、中島嘉克、伊沢健司
「東欧のシリコンバレー」と呼ばれてきたウクライナが危機に陥っている。ウクライナは旧ソ連時代から科学技術が栄え、IT人材が豊富。米グーグルや韓国サムスンのほか日本企業も開発拠点を置いてきた。IT大国として世界で存在感を高めてきたが、ダメージは計り知れない。
ロシアによる激しい爆撃に襲われた北東部ハリコフには、IT企業のアイスリーデザイン(東京)が拠点を置く。システム開発を手がける現地スタッフ15人が働く。芝陽一郎社長はアプリで連絡を取り続けるが、地下シェルターに避難したスタッフからは「同僚の家が破壊された」「とにかく今は生き残る」など悲痛なメッセージが届いている。
ハリコフに拠点を設立したのは9年前。現地のベンチャーと取引したのをきっかけに、IT人材の水準の高さに驚いたという。
大半のスタッフはハリコフの外に避難し業務に戻りつつあるが、中長期的なプロジェクトに遅れが出る可能性がある。戦況は見通せないが、芝社長は「スタッフの安心のためにも、雇用を守ることが何より大事だ」と話す。
今後、ウクライナではIT人材の国外流出が進んだり、ウクライナに投資する企業が減ってしまったりする恐れが出ている。
そこでアイスリーデザインは…