交通事故死のネコ、1年で29万匹 殺処分の10倍の「ロードキル」

矢田文
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 全国で1年間に交通事故で命を落とすネコは約29万匹に及ぶ――。そんな推計を、岐阜市にあるNPO法人「人と動物の共生センター」が公表した。41自治体で回収された遺体の数から試算した。同期間の殺処分数の10倍に相当する。センターは「殺処分以外の場所で命が失われていることを知ってほしい」と訴える。

 センターは、2020年8~9月に、全国の政令指定都市中核市80市を対象に、野外で死んだネコの遺体回収数を尋ねた。有効な回答のあった41自治体で、19年度中に、計5万3736匹の遺体が回収されていたことがわかった。

 人口10万人あたりの回収数は229・4匹。野外で回収される遺体は、ほぼすべてが、自動車などにひかれたロードキル個体だ。19年4月時点の日本の総人口で換算すると、28万9572匹がロードキルによって死んだと推計された。

 一方で、環境省によると19年度のネコの殺処分数は2万7107匹で、ロードキルによる死亡推計の10分の1にとどまる。

 センターによると、41自治体の遺体回収数は、15、16年度は6万匹以上だったのに対し、17年度は5万9296匹、18年度は5万6584匹と徐々に減少。だが、全国換算すれば、同期間の殺処分数をはるかに上回る状況が続いている。

 ネコの回収数は、人口が多い自治体に多い傾向があった。センターは、人口が多いと、ゴミや人からの餌付けでネコにとってのエサが増えることや、家の軒下などネコの生息環境も増えることが要因とみる。交通量も多いため、道路上で遺体が人目につきやすいことも考えられる。センターの奥田順之獣医師は、「不幸なネコがこれ以上生まれないような根本的な仕組みをつくっていかなければならない」と訴える。(矢田文)