企業も「脱ロシア」、問われる社会的責任 ビジネスと人権切り離せず

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聞き手・友田雄大 田幸香純
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 ロシアでの事業展開を巡り、企業の「社会的責任」が注目されている。国際社会でロシアへの批判が強まるなか、ビジネスと人権を切り離した判断が難しくなっているからだ。撤退や休止といった経営判断に丁寧な説明を求める声もある。

 経済同友会の桜田謙悟代表幹事は、英米企業が撤退を表明したサハリンのエネルギー開発事業について継続を疑問視している。15日の会見では、「(撤退した場合)影響は少なくないが、破滅的なことが日本経済に起こるとは思えない」と述べた。商社など日本勢は継続か撤退か最終的な方向性を打ち出していない。

 欧米企業は「脱ロシア」で先行したが、日本でもファーストリテイリングがロシアのユニクロ50店舗の一時閉店を決めて「あらゆる戦争に反対」を表明した。ソニー・インタラクティブエンタテインメント、セイコーエプソン資生堂は平和や人権を掲げ、製品の輸出などの停止を決めた。

 ロシア市民に対する社会的責任を果たそうとする動きもある。マクドナルドはロシア国内店舗を一時閉鎖する一方で、従業員の給与は支払うと決めた。資生堂も従業員の雇用と報酬を一定期間保証するという。

 SMBC日興証券の浅野達氏は「ESG投資家も人権への配慮に注目している」。弁護士で国際人権NGOヒューマンライツ・ナウの佐藤暁子事務局次長は社会的責任を果たすために「経営判断の十分な説明責任」を求めた。

「ロシアへの依存度、大きくはないが、小さくもない」

 SMBC日興証券のESGア…

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    北郷美由紀
    (朝日新聞編集委員=SDGs)
    2022年3月17日23時43分 投稿
    【解説】

    ビジネスと人権のテーマをここ数年、取材しています。国連の「ビジネスと人権にかかわる指導原則」ができたのは2011年ですが、日本ではなかなか浸透していません。世界で24番目となる国内行動計画を作ったのが2020年10月。21年に経産省がビジネ

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