ヒグマと人の「距離」、どう保つ? 世界自然遺産・知床の模索

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山本悠理
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 人とヒグマは近づきすぎたのではないか――。世界自然遺産の地である北海道・知床はいま、そんな問いに向き合っている。世界有数の密度でヒグマが生息するが、近づいて見る人の影響などでヒグマの「人慣れ」が進んだ。適切な「距離」をどう保つか模索が続く。

 飲食店や住宅が並ぶ市街の中心部から、車を数分走らせる。眼前に山の斜面がそびえ、道路を挟んだ向かいにはオホーツク海が広がる。斜面の手前に目をやると、多年草のオオイタドリが記者のひざ下くらいの高さに生えそろっていた。

 草を短く刈ってヒグマが隠れられないようにし、人間の生活の場に近づくことを防ぐための取り組みだ。「もっと早くここの手入れをしていれば、違ったかも知れません」。地元のホテルで働く村上晴花さんはそう話した。

 村上さんが見つめる先の現場で昨年6月、1頭のヒグマが駆除された。この付近で2日に分けて草刈りを行っていたさなか、初日の夕方のことだったという。

 北海道斜里町のウトロ地区。2005年に世界自然遺産へ登録された知床の国立公園に隣接する、人口1千人あまりの地区だ。コロナ禍前にはゆうに100万人を超える人々が知床を訪れ、ウトロ地区も多くの観光客を受け入れてきた。

 ウトロ地区で大型ホテルを運営する北こぶしリゾートが、創業60周年を迎えた一昨年、「クマ活」を始めた。ヒグマが人間の生活圏へと侵入するのを防ぐための草刈りやゴミ拾いが主な活動だ。これまでホテルのスタッフや関係者らのべ約300人が参加した。村上さんは、「クマ活」の実行隊長を任されている。

 キタキツネやエゾシカ、そし…

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