米びつ人気の桐タンスメーカーが抱いた危機感 CFで呼びかける植林

西江拓矢
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 大正時代創業の大阪府岸和田市の桐(きり)タンスメーカー「留河(とめかわ)」が、桐を植林するプロジェクトに取り組んでいる。原料の調達に危機感を抱いた4代目が、取引先と協力。桐が成長過程で二酸化炭素を吸収することで、温室効果ガスの削減にもつなげる狙いだ。クラウドファンディング(CF)で広く協力を呼びかけている。

 留河は、創業以来、100年以上にわたり桐製品を作り続けてきた。しかし、生活様式の変化もあり、タンスの需要は右肩下がり。

 4代目の留河昇さん(48)は、新たな商品開発にも力を入れてきた。その一つが、職人の技を生かした桐製の生活雑貨だ。なかでも、米びつは気密性が高く、1合ずつ計量できる仕組みを工夫したこともあり、ふるさと納税の返礼品としても人気になった。

 さらに、桐の可能性を追究。和紙を作る際に微細なパウダー状にした桐を入れた「桐和紙」を作った。壁紙などに利用できるが、さらに、その和紙を細く裁断し、よりをかけて「桐糸」を開発。軽く、抗菌、消臭などの効果があり、タオルやアウトドア用Tシャツなどにも使われている。

 新素材を含め、桐一筋でビジネス展開を目指す留河さんだが、懸念は、原料の調達だ。長期的な需要の減少に、コロナ禍が追い打ちをかけ、桐製品メーカーの仕入れ量が激減。材料を扱う業者が買い付けをしなくなり、原料となる桐材が国内で枯渇する恐れがあるという。

 危機感を抱いた留河さんが思い立ったのが、植林だった。桐が二酸化炭素を吸収することで、脱炭素社会の実現に貢献できるとの思いもあった。

 持続可能な社会への思いに共感したのが、桐糸を通じて取引が始まった帽子メーカーの「ヨシダ」(大阪市東成区)だった。桐糸を使った帽子は、汗をかいてもにおいが抑えられるという。ヨシダも、地球に優しいものづくりに取り組んでいた。帽子を製造している熊本県内の工場の敷地内に植林できる土地があることから、話が進み、昨年10月に10本の苗を植えた。

 桐は成長が早く、植林から5年ほどで米びつなどを作れる太さになるという。「数十年先ではなく、5年なら活動をイメージしやすいのではないか」と留河さん。伐採して活用し、さらに植林するサイクルを目指す。

 より広く活動を知ってもらおうと、CFに取り組んだ。当初の目標の10万円は達成したが、1本でも多く植林できるように、3月末まで支援を呼びかけている。寄付額に応じて桐の米びつなどの返礼品を贈る。

 詳しくは、CFのサイト(https://camp-fire.jp/projects/view/465674別ウインドウで開きます)。(西江拓矢)