処理水、廃棄物の管理…山積みの課題にどう対応

聞き手・福地慶太郎
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 東京電力福島第一原発の事故から11年。来春にも始まる処理水の海洋放出は反対の声が根強く、昨年は原発の敷地内で管理が不十分だった廃棄物の収納容器から放射能漏れも起きた。山積する課題にどう対応するのか、福島第一廃炉推進カンパニーの小野明代表に聞いた。

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 ――政府は昨年4月、来春にも処理水を海洋放出する方針を決めたが、漁業者や市民から反対の声が相次いだ。政府や東電は説明を続けているが、理解が広がったようには見えない。

 「正確な情報を、透明性を確保して示すのが非常に大事。丁寧に愚直に何度も説明し、理解を得る努力を続けたい。政府が決めた海洋放出の開始時期まで時間があるので、愚直に説明していく」

 ――政府や東電への不信感から「処理水を安全に処分すると説明されても信用できない」という声も聞く。どう信頼を回復する。

 「IAEA(国際原子力機関)など第三者から意見をもらい、伝えることが大事だ。信頼をなくしているという点では、世の中とわれわれの間に認識のギャップがあり、対応のまずさにつながっていると思う」

 ――ギャップとは。

 「昨年2月の福島県沖地震のとき(3号機の)地震計が壊れていた(注=地震9日後の原子力規制委員会の検討会で壊れた地震計の放置が判明)。あの地震計は発電所の地震の大きさの評価に用いるものではなかったので、壊れたらすぐ直すという発想はなく、世の中に『大丈夫か』と思われてしまった」

 「我々からすると、イチエフ(福島第一原発)のリスクは事故当初と比べ、だいぶ下がったが、世の中からするとまだまだリスクがある。地域の方々の目線に立ち、廃炉を進めるのが極めて大事。設備の故障や人のミスは起こる前提で対応を用意し、ことが起こる前にこういう準備があると説明するようにしたい」

 ――原子力規制委の更田豊志委員長は今年2月、福島第一原発で多くの廃棄物が屋外で保管されているのを問題視し、将来取り出すことを前提に地中に埋めて保管することを提案した。

 「管理の適正化を一生懸命進めているので、(地中埋設をしなくても)十分だと思う。ただ、昨年は屋外保管していた廃棄物のコンテナが傷み、放射性物質が漏れるトラブルが起きた。2028年度までに屋外保管の廃棄物はすべて屋内に移し、同じようなトラブルをなくす計画だ」

 ――事故の悲惨さを伝承するため、福島第一原発の施設の一部を残すとしている取り組みの現状は。

 「津波で損傷した大きなタンクや、震災の地震で倒れた5、6号機に電気を供給する鉄塔を残していて、視察に来た住民に紹介している。将来、残そうと思ってもきちんと管理しておかないと残せないので、いまのうちから気を配っていきたい」(聞き手・福地慶太郎