世界で判断分かれた旅行サイトの「最安値」要求、公取委が初見解

田中恭太
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 うちに載せる宿泊料金は、ホテル公式サイトの価格以下にしなければいけない――。大手旅行予約プラットフォームサイトが宿泊施設に課しているこんな契約条項をめぐり、公正取引委員会が16日、「独占禁止法上問題になりうる」との初の見解を明らかにした。一方、条項が形骸化しているとして撤廃は求めず、動向を注視するとしている。

 同様の条項は日本のみならず世界各国でも問題視され、評価が分かれていた。

 調査を受けていたのは「ブッキング・ドットコム」(本社・オランダ)。全世界の予約取扱高は約9兆円に上る。同社は宿泊施設と結ぶ契約で、同社のサイトに載せる料金を、①他の競合予約サイトや②施設の自前の予約サイトと、同じか、安くするよう求めていた。

 こうした条件は「同等性条件」と呼ばれる。プラットフォーム事業者が課せば、競合サイトが独自の割引ができなくなるなど、価格競争や創意工夫を阻む恐れがあると指摘されてきた。公取委は2019年4月、同社のほか楽天トラベル、エクスペディアに「拘束条件付き取引」容疑で立ち入り検査。楽天は自ら撤廃していた。

一部は撤廃、残った条項にも問題指摘

 調査の結果、ブッキング社は①の条項をやめるとの計画を独禁法の制度に基づいて提出。公取委は16日付で認定し、計画履行を条件に調査を終えるとした。一方、②の条項の廃止は、計画に盛り込まれず、公取委は「注視する」とした。

 この条項については、各国の競争当局も調査。同社は、条項がなければ、同社サイトで閲覧だけをして予約は施設直営サイトで行う客が増えて手数料収入が入らず、「ただ乗り」が起きると主張してきた。ドイツでは最高裁で違反が確定したが、フランスなど五つの国・地域では主張が認められ、判断が分かれていた。

 公取委は今回、調査の結果、「ただ乗り」の影響は限定的だと判断。問題性があると結論付け、同社にも伝えた。

 一方、日本では条項を守らずに価格を決める施設が多く、同社も厳格に対応しておらず、「現状は問題ない」と説明。撤廃を求めて同社と争えば解決に時間がかかるとして、同社が今後、対応を変えれば厳正に対処するとしている。

 担当者は「事業者の価格設定を拘束する行為には特に厳しい対応が必要になるという考えを示した」と話し、自社サイトの価格について圧力を受けているとの情報があれば、提供してほしいとしている。

 ブッキング社は取材に「計画を順守し、透明性のあるサービスを行っていきたい」とコメントした。田中恭太